Napalm Brain / Scatter Brain (Medley)

1996
地域 / シーン:Davis / San Francisco Bay Area
長い曲の道筋を、ドラムの組み替えが切り開く。
拍の足場が動く九分間
1996年のURB取材で、Shadowは「Napalm Brain」のドラムを4/4から7/8、3/4、5/4へ移し、4/4へ戻す構想として説明した。長尺を支えているのは同じ拍の持久力だけではない。歩幅そのものを変えるような展開を、作者は考えていた。
2006年には、生のドラマーがグルーヴの入りで少し遅れる感覚を、この曲にも再現したと語っている。整った線の上を進むだけでは生まれない身振りがある。拍子の数字を知ったあとにも、一打の置かれ方を追う余地が残る。
Wax Poeticsには、1996年に本曲を仕上げるShadowの写真が残る。本人提供の写真説明にある盤は、映画『Gator』の「Moment of Truth」。完成曲を素材名の一覧へ戻すだけでなく、どの盤を手に、どんな作業の只中にいたかまでたどれる貴重な記録だ。
深掘り記事あり · サンプル資料 1 件
展開の先生はThe Fixx
同じURB取材でShadowが展開の手本に挙げたのは、The Fixxの「Deeper」だった。次の小節が自然に欲しいところへ来る感覚に惹かれたという。これは本曲のサンプル元の申告ではなく、曲を先へ運ぶための発想についての話だ。
激しい区間のあとに残るもの
音楽学者Michael A. D’Erricoは2011年の論文で、密集したドラムから、ドラムが退いて弦やシンセの空間へ向かう後半を分析した。ここで紹介するのは研究者の聴き方だ。激しさを頂点にして終えるのか、その先の静けさへ進むのかで、長い曲の受け取り方も変わる。
参考資料:Michael A. D’Errico:Behind the Beat(Tufts University修士論文、2011年5月)
制作背景
サンプル元
Charles Bernstein — Moment of Truth
Wax Poetics掲載の本人提供写真説明に、Gatorの同曲をサンプリング中と記載。
『Endtroducing.....』収録の公式アルバム音源を掲載。実再生は未確認です。
確認できた素材を記載。全素材の網羅・原盤全クレジットの確認を意味しません。
出典
YouTube:djshadow公式アーティストチャンネル/PIAS提供アルバム音源
URB:DJ Shadow本人取材(1996年11月)/Solesidesアーカイブ
The A.V. Club:Noel MurrayによるDJ Shadow本人取材(2006年10月5日)
Wax Poetics:David Maによる本人取材・当事者提供写真(2020年12月8日掲載)
Michael A. D’Errico:Behind the Beat(Tufts University修士論文、2011年5月)