CRATEDIGGIN'CURATED BY DJ NAOYAMAN

Mutual Slump

Mutual Slump — DJ Shadow|CRATE DIGGIN|DJ Naoyaman
Original graffiti · Designed by DJ Naoyaman

1996

地域 / シーン:Davis / San Francisco Bay Area

DJ Shadow

Shadow本人が明かした、終盤の素材同士をつなぐ調整。

フルートに合わせ、別の盤の音程を曲げる。

2016年のSong Exploderで、ShadowはBjörk「Possibly Maybe」をあえて分かりやすい素材として選んだと話す。珍しい盤を知る者だけの音楽に閉じないための選択だった。音程を下げた断片には、元の曲とは違う重さが宿る。

ドラムの出発点はPugh Rogefeldt「Love, Love, Love」。Shadowは複数のキックとスネアを切り出して交替させた。ループの継ぎ目を隠すことより、一打ごとの違いを残したまま新しい流れを作る。その手つきに耳を向けたい。

語りの主は当時の恋人Lisa。本人の説明では、自由に話してもらった約20分の録音から、曲に合う部分を抜き出した。古い映画の台詞のように聞こえる声にも、その場で過ごした時間がある。レコードの記憶に、身近な人の記憶が混ざっている。

Song ExploderでShadowが説明する終盤では、フルートは元の音の並びを保つ一方、ヴィブラフォンの音程をそれに合わせて変えている。サンプル同士を調和させることは、本人が目指していた課題だったという。二つのレコードをただ隣に置くのでなく、一方に手を加えて関係を作る。元の曲名を知ることに加え、素材の間で何を変えたかへ進める具体例だ。

深掘り記事あり · サンプル資料 2 件

針を落とし直し、音程を合わせる

終盤のサックスは針を落とす位置を変えて揺さぶり、ヴィブラフォンはフルートの音程へ寄せたという。偶然に乱す操作と、調和へ近づける操作。その両方を使って一曲を着地させている。

参考資料:Song Exploder:DJ Shadow本人による「Mutual Slump」解説(2016年12月8日)

ジャケットの二人へ目を戻す

Wax Poeticsに掲載されたB+の撮影資料は、Records店内の二人をLyrics BornとChief Xcelと記す。これはアルバム全体の視覚的背景だ。Shadow一人の孤独な発明として眺めていたジャケットに、仲間とレコード店の風景が戻ってくる。

参考資料:Wax Poetics:David Maによる本人取材・当事者提供写真(2020年12月8日掲載)

制作背景

サンプル元

Björk — Possibly Maybe

本人が素材として明言。

Pugh Rogefeldt — Love, Love, Love

本人がドラムの素材として明言。

『Endtroducing.....』収録の公式アルバム音源を掲載。実再生は未確認です。

確認できた素材を記載。全素材の網羅・原盤全クレジットの確認を意味しません。

出典

YouTube:djshadow公式アーティストチャンネル/PIAS提供アルバム音源

Song Exploder:DJ Shadow本人による「Mutual Slump」解説(2016年12月8日)

Wax Poetics:David Maによる本人取材・当事者提供写真(2020年12月8日掲載)

A NOTE FROM THE EDITOR

Old records.
New afternoons.

音楽は、発売された年に閉じ込めておくには、
少しばかりよくできすぎている。

好きな曲を掘る。元になった音をたどる。街や仲間の話に寄り道する。
そうして、いまの自分の耳を、もう一度確かめる。

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