Mastermind

2000
地域 / シーン:California
2000年の「Mastermind」を、2013年の舞台でAutomatorが指揮する姿へつなぐ。
未来の設計者が、今度は指揮台に立つ。
Deltron 3030は、Delのラップ、Dan the Automatorのプロダクション、Kid Koalaのターンテーブルが交わるプロジェクト。「Mastermind」は2000年の同名アルバムに収められている。未来の物語を扱いながら、ここで前に出るのは音楽を作る行為そのものだ。
公式に掲載された歌詞では、Automatorを科学や技術のイメージに重ねて讃える。普通なら裏側に置かれるプロデューサーが、未来の物語を進める人物になる。声の主だけでなく、その声の世界を設計する人へもスポットライトが当たる曲だ。
Automatorの公式紹介は、このアルバムを3030年を舞台にしたラップ作品として位置づけている。弦、ドラム、シンセサイザーによる世界設計と、Delの言葉が描く未来。その二つが同じ方向を向くことで、単に未来的な音色を使う以上の奥行きが生まれる。
単曲で聴いたあとには、アルバムの曲順へ戻ってみたい。「Mastermind」は10曲目で、短い「New Coke」と「National Movie Review」のあいだに置かれる。曲と小さな場面の切り替えまで聴くと、コンセプト盤がラップと編集の両方で作られていることに気づく。
この役割分担は、後年の舞台では目に見える形も取った。Joe Turnbullによる2013年のロンドン・Scala公演評では、Automatorが燕尾服姿で、三人に加わった20人近い演奏者を指揮していたと記される。序盤には「3030」と「Mastermind」が演奏された。これは2000年のスタジオ版と同じ編成だったという証拠ではない。曲が讃える設計者が、舞台では演奏を導く人として現れた、その別の姿を記録する資料だ。
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長い曲と短い場面が作る時間
Delの公式曲目を見ると、冒頭の「State of the Nation」は25秒、続く「3030」は7分30秒。さらに20秒の「The Fantabulous Rap Extravaganza」が続く。最初から、均等な長さの曲を並べるアルバムではない。 3分34秒の「Mastermind」も、その伸び縮みする時間の一部にある。長い曲で世界へ入り、短い場面で視線を変える。曲の長さそのものを物語の編集として捉えると、一曲を聴いた後にアルバムへ戻る理由が増える。
技術への賛歌だけではない未来
公式ページに載る歌詞を読むと、「Mastermind」で音楽制作に結びついた科学のイメージが、別の曲では違う意味を持つ。「Virus」では技術が支配へ抵抗する手段となり、「Madness」では街に生きる人の圧迫感へ視点が戻る。 これは歌詞の読みとしての対照だ。未来の機械を並べるだけでなく、誰が技術を使い、誰がその世界を生きるのかが曲ごとに変わる。「Mastermind」の制作者への賛歌も、そうしたアルバム全体の緊張の中に置かれている。
制作背景
三人でつくるDeltron
DelがMC、Dan the Automatorがプロダクション、Kid Koalaがターンテーブルを担う。公式音源も三人をDeltron 3030と併記している。
2000年から未来へ
Dan the Automatorの公式作品一覧では『Deltron 3030』は2000年の作品。3030年を舞台とするコンセプトは、現実の発表年から千年以上先へ視線を向けている。
曲順も読む
アーティストBandcampではMastermindは10曲目、3分34秒。短い幕間のあいだに位置する構成も、アルバムで再訪する手がかりになる。
サンプル元
公式音源の公開情報で曲名と投稿者を確認しています。サイト内での実再生は未確認です。
個別確認中。未掲載はサンプル不使用を意味しない。
出典
Del公式Bandcamp — Deltron 3030 / 曲目と歌詞
Dan the Automator公式 — 作品一覧とDeltron紹介
OfficialDELTRON — Mastermind / The Orchard配信
AllMusic — Deltron 3030 Biography
The Upcoming / Joe Turnbull — Deltron 3030 at Scala live review