Start the Show

2007
地域 / シーン:Chicago
曲順もマスターも未完成だった試聴会で、「Start the Show」は冒頭候補として紹介された。
完成前でも、幕開けの役割は見えていた。
『Finding Forever』は2007年のCommon作品。「Start the Show」ではKanye Westがプロデューサーを務め、声でも参加する。Commonを昔ながらの穏やかなジャズ・ラッパーという箱に入れず、競争の場へ立つMCとして聴きたい曲だ。
2007年4月のThe FADERによるRecord Plant取材では、アルバムはまだ曲順が整わず、マスタリングも完成もしていなかった。その場にいたCommonとKanyeは曲への修正案を交わしていたという。一方で「Start the Show」は冒頭に置く予定の曲として報告されている。完成盤の細部をそのまま証明する資料ではないが、アルバムの入口をこの曲に担わせようとしていた途中段階が残されている。
Apple Musicのアルバム解説は、この曲と「Windmills of Your Mind」の関係を示している。ラップの向こうに映画音楽へ続く入口がある。Alan Bergman、Marilyn Bergman、Michel Legrandという作曲者の名を辿ると、CommonとKanyeの一曲が、別の時代の歌とつながって見える。
CommonとKanyeの関係を、ラッパーと伴奏役だけで説明しない。声の出番と、曲を組み立てる仕事を行き来する共同制作として聴く。そのうえで『Be』から続く二人の作品を並べれば、同じ組み合わせでもMCの立ち方が一様ではないことが見えてくる。
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完成前のKanyeは、まだ手を動かしていた
The FADERの試聴会記事では、Kanyeはソファで目を閉じて曲を聴き、ときどきCommonのいるミキシング卓へ向かって新たな案を伝えている。Commonは、当日流した11曲のうち9曲を手がけたKanyeを、作品をつなぐ存在として説明した。 この現場記録を読むと、プロデューサーは完成済みの伴奏を渡して去るだけの人ではなかったと分かる。「Start the Show」のようにMCの登場を支える曲も、アルバム全体の感触を探る二人のやりとりの中にあった。
追悼を、制作方法として受け継ぐ
同じ試聴会でKanyeは、Steven Spielbergとの会話をきっかけに、亡くなったDillaならどう作るかを考えて『Finding Forever』の制作へ向かったと説明している。これはアルバムを貫く制作姿勢についての本人の発言だ。 「Start the Show」の個別のサンプルや手順をDillaに帰属させる話ではない。尊敬する作り手を題材にするだけでなく、判断の仕方を想像して新しい仕事へ持ち込む。追悼が曲名や献辞の外側にもあることを教えてくれる。
制作背景
制作クレジット
Universalの公式配信音源はKanye WestをProducerとして、CommonとKanye Westを演者として掲載。作曲者にはAlan Bergman、Marilyn Bergman、Michel Legrandも含まれる。
発売前の海外現場記録
2007年4月26日のFADER記事は、ハリウッドのRecord Plantで行われた試聴会の直接レポート。CommonとKanyeが未完成のアルバムへアイデアを重ねる姿を伝えている。
映画音楽へ続く作曲者たち
Apple Musicの解説は「Windmills of Your Mind」との関係に触れる。公式楽曲クレジットにもAlan Bergman、Marilyn Bergman、Michel Legrandが並ぶ。
サンプル元
公式音源の公開情報で曲名と投稿者を確認しています。サイト内での実再生は未確認です。
個別確認中。未掲載はサンプル不使用を意味しない。
出典
Universal公式配信 — Start The Show