Chi-City

2005
地域 / シーン:Chicago
「Chi-City」の一節をめぐる噂に、Common本人は明確な否定を返している。
Nasへの攻撃ではない、とCommonが答えた
「Chi-City」はCommonの2005年作『Be』に収録された、Kanye Westプロデュースの曲。街の名を表題へ置くとき、ラッパーは住所だけでなく、自分が何を代表したいかも示す。ここではシカゴという場所を出発点にしつつ、Commonがどんなヒップホップを信じるのかという問いまで広がっていく。
発売前のMVRemixでCommonは、次作に求めたものを生々しいヒップホップとソウルだと説明し、そのためにKanyeとJ Dillaへ向かったと語っている。これは単に旧作へ戻る選択ではない。前作で別の可能性を試した演者が、新しい共同制作者との関係を通じて、自分の言葉を置く場所を選び直す作業だった。
その制作意図を踏まえるなら、街の看板は閉じた所属証明ではなく、誰と何を作るかを決める足場として読める。故郷を名乗りながら、影響源や尊敬するMCは街の外にもいる。地方性と広い系譜を同時に持てることが、Commonの位置を考える鍵になる。曲のタイトルだけから排他的な宣言と決めつけずに聴きたい。
「Chi-City」の言葉が誰へ向いているかは、当時の取材で具体的に問われていた。2005年8月のMVRemixでNasへの攻撃なのかと尋ねられたCommonは、それを否定し、Nasを最も好きなMCの一人と述べた。問題になった表現はNasの曲名を狙ったものではなく、本来の競技の外側にいる人々を指すという説明だった。街の名を掲げた曲でも、敬意の対象は都市の境界で切れていない。ここでは噂から標的を推測するより、作者が否定した線を残して読むことが大切だ。
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「Halftime」はNasへの攻撃なのか
2005年8月の取材でCommonは、「Chi-City」の「Halftime」に触れた一節がNasへの攻撃なのかと問われ、明確に否定した。むしろNasを尊敬するMCとして挙げ、問題にしたのは中途半端に取り組む態度だと説明している。 曲中の単語が別のラッパーの代表曲と重なっても、それだけで対立を作ることはできない。本人の説明を併せることで、固有名詞当てではなく、Commonがどんな姿勢を評価したのかへ読みの焦点を戻せる。
プロデューサーに任せきりではない
Jim DeRogatisの同時期の取材でCommonは、Kanyeの作業場に座り、使われる素材へ意見を返していたと話す。また、Kanyeの自信が自分の自信を引き出したとも説明した。完成品を受け取るだけの関係ではない。 このやり取りは、作者欄の一行では見えにくい共同制作を教えてくれる。音を選ぶ判断と、声を出す演者の確信が互いに作用する。街を名乗る曲の背景にも、二人の間で少しずつ作られた信頼があったと考えられる。
制作背景
アルバム内の位置
20周年盤の公式曲順ではB面の冒頭に置かれている。
制作の組み合わせ
本曲のプロデューサーはKanye West。『Be』全曲が同一プロデューサーではない。
サンプル元
配信元の公開情報では日本を配信対象に含む公式音源です。サイト内での実再生は未確認です。
サンプル元は未確認。未掲載はサンプル不使用を意味しない。
出典
MVRemix — Commonが語る次作の制作意図(2005年4月)
MVRemix — 「Chi-City」の一節への本人回答(2005年8月)