The Mighty Hard Rocker

1988
地域 / シーン:Philadelphia
米国では裏面、英国では表面。DJの切れ味が押し出した一曲。
海を渡ってA面へ出たハード・ロッカー
「The Mighty Hard Rocker」は、米国の12インチでは「Find An Ugly Woman」のY面に収まった。ところが英国ではこの曲がA面へ回る。1989年1月のRecord Mirrorが、その面の入れ替わりをはっきり報じている。同じ二人の二曲でも、どちらを入口にするかでレコードの顔つきは変わる。クラブの反応をたどる面白さがここにある。
米国盤が入った1988年12月のレビューで、James Hamiltonは「Find An Ugly Woman」の軽快さと、この曲の強くうねる質感を対比し、後者にCash Moneyのミックス技術を見ていた。1988年の世界王者という肩書きが、歌の脇の紹介文だけに留まらない。DJの働きそのものが、シングルのもう一つの売りとして取り出されていたのである。
制作の裏側では、盤のジャケットにDJ Cash MoneyとJoe The Butcherの共同作業が刻まれる。プロデュースとミックスには二人、エンジニアにはJoeの名がある。Joe Nicolo本人の公式ディスコグラフィーもアルバムへの制作・録音・ミックス参加を記録する。ターンテーブルの技量とスタジオで形にする技術、その接点から捉えたい曲だ。
さらに原曲側から見ると、Jomod Music Publishingのサンプル使用一覧がこの曲をThe Metersの「Same Ol Thing」へ結び付ける。同じ一覧にはアルバムの「The Music Maker」も載る。表題の「Hard Rocker」をジャンル名として読むより、ファンクの素材をどう別の推進力へ変えたかを問うほうが、Cash Moneyの選曲眼へ近づける。
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VocalとInstrumentalも別々に追う
米国SLX40143はX面に「Find An Ugly Woman」、Y面に「The Mighty Hard Rocker」を置き、それぞれVocalとInstrumentalを収録する。販売資料の曲目は後者を4分26秒と4分20秒で区別している。曲名が同じでも、歌入り・インスト・後年の別リミックスは同じ登録ではない。まず原盤の四曲構成を押さえると、検索で混在する音源の整理がしやすい。
参考資料:SOUL CLAP:Find An Ugly Woman / The Mighty Hard Rocker / Sleeping Bag SLX40143オリジナル裏ジャケット(SOUL CLAP実物写真)
Metersの一曲がつなぐ三つのタイトル
原曲の作家・演奏者Joseph “Zigaboo” Modeliste側の出版社Jomodは、「The Mighty Hard Rocker」「The Music Maker」に加えて、Mantronixの「King Of The Beats」も「Same Old Thing」の使用例として挙げる。Cash MoneyとMantronikの仕事を、似た音という印象だけでなく、原曲側の記録から横につなげて掘れる。ただし資料は使用箇所の秒数や採取方法までは示していない。
制作背景
サンプル元
原盤資料・同時代記事・制作証言を出典付きで掲載。日本国内からの実再生と埋め込み再生は未確認。
個々のサンプル録音・版と音源リンクは未照合。本文では出典が示す関係だけを扱います。
出典
Sleeping Bag SLX40143オリジナル裏ジャケット(SOUL CLAP実物写真)
Record Mirror, 1989-01-14:Mighty Hard Rocker/アルバム評
James Hamilton, Record Mirror 1988-12-03(アーカイブ転記)
NAMM Oral History:DJ Cash Money