Get It Together

1994
地域 / シーン:New York
Ad-Rockによれば、先にあったのはMike DとMarioのトラック。訪ねてきたQ-Tipの即興を編集して共演へ組み立てた。
Q-Tipの即興の間へ、三人が入っていく
「Get It Together」は、Beastie Boysの三人にQ-Tipが加わった、1994年の『Ill Communication』収録曲だ。ゲストの一節を完成済みの曲へ足しただけではない。Ad-Rockの回想によれば、Q-Tipの即興ラップを編集し、その間へ三人が入り込むことで、四人の共演が組み立てられた。
この曲はアルバム発売前から、ヒップホップ側の入口も担っていた。1994年5月のCMJは先行EP『Pretzel Nuggets』を取り上げ、その中心曲としてQ-Tip参加の「Get It Together」を紹介している。「Sabotage」だけを代表曲にしてしまうと見えにくい、ラップの現場へ向けたもう一つの顔である。
アルバムでは「Sabotage」と「Sabrosa」の間に置かれる。ここでの共演は、Beastie Boysの世界を一色に整えるためではなく、別の声を受け入れてその輪郭を広げるもの、と捉えられる。即興を残すことと、曲として構成すること。その二つが対立せず成立するところに、この組み合わせの面白さがある。
Ad-Rockは、Q-Tipがスタジオを訪ねた時点でMike DとMarioがトラックを作っていた、とも話している。Q-Tipはマイクを求めて即興を始め、使われなかった言葉もあったという。四人が輪になって順番に完成形を録ったのではない。先に録られた声から選び、三人がその間へ入るという説明が、この共演の組み立て方を具体的にする。
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即興を切り分けて、四人の会話をつくる
Ad-Rockは『Questlove Supreme』で、本曲のトラックをMike DとMario Caldato Jr.が作り、スタジオに遊びに来たQ-Tipがそこへ即興のラップを録音した、と説明する。完成形の掛け合いを最初から四人で順番に録った、という話ではない。後からQ-Tipの録音を選び、Beastie Boysの声を織り込んだのだという。 この証言からは、編集が即興の反対物ではなく、即興を他者と共有する方法だったと考えられる。Q-Tipを独立した「客演枠」に収めるのではなく、その言葉を曲の構造にする。参加者の名簿以上に、共演をどう成立させたかが重要になる一曲だ。
「Sabotage」とは別の道から届いた先行曲
発売前のBillboard取材では、Capitolが1994年4月初めに「Get It Together」のホワイト盤12インチをクラブへ送り、現場から広げようとしていたことが報じられた。一方、「Sabotage」はカレッジ/モダン・ロック系ラジオへ向けられた。同じアルバムの入口が、最初から一つではなかった。 5月23日付CMJでは、本曲を含む先行EP『Pretzel Nuggets』がラップ・チャートで31位から20位へ上昇したと記録されている。これは「Get It Together」単曲の順位ではなく、EPに対する放送局の報告だ。Q-Tipとの共演が発売前の紹介で強調されたことは、この曲が作品のヒップホップとしての顔を担っていた証拠になる。
制作背景
作品の年と位置
公式ディスコグラフィーではIll Communicationは1994年5月31日発売。Get It Togetherは7曲目。
制作
Beastie BoysとMario Caldato Jr.。Q-Tip参加の通常アルバム版を対象。
サンプル元
公式音源の公開情報で曲名と投稿者を確認しています。サイト内での実再生は未確認です。
サンプル元を裏付ける資料がないため、個別名は掲載していない。
出典
CMJ New Music Report, May 23, 1994