Three

1999
地域 / シーン:New York
テレビとラップの名前を組み替える、露悪的なパンチラインの連鎖。『Aktapuss』の一場面。
三というお題から、どこまで飛べるか
「Three」は1999年の『Aktapuss』に収録されたAkinyeleの一曲。同作はLionel C. Martinが監督した同名映画のサウンドトラックでもある。性的な題材を前面に出した作品世界のなかで、本曲は数字の三をお題に、次々と連想を転がしていく。親密な恋愛を描くというより、聴き手の共有知識を使って意表を突くラップとして捉えたい。
ヴァースにはテレビ番組の登場人物や音楽グループの名前が現れ、実在の人間関係とは無関係な、挑発的な組み合わせへ飛躍する。もちろんそれは人物についての事実の主張ではない。おもしろさを狙う仕掛けは、誰もが知る名前を別の文脈へ強引に移すことにある。同時に、その笑いが人物の性的な対象化に依存する点は、作品の時代性と限界として残る。
アルバムにはLarge ProfessorやBuckwildらが参加するが、「Three」の制作クレジットはKey Tec / Wave Form 7 Productionsに結びつく。Akinyeleの初期作の印象から、全曲を同じ制作人脈に帰してしまわないことが大切だ。曲単位で制作者を追うと、ひとりのMCが複数の制作陣の上で、同じ露悪的なキャラクターを維持している構図が見えてくる。
AkinyeleはAllHipHopのインタビューで、Lord Finesseとともに他のMCの公演へ出向き、アカペラで存在感を示した経験を語っている。この証言を脇に置いて本曲へ戻ると、題材の過激さだけでなく、短い発想を連射して注意を奪うというMCの競争心にも目を向けられる。パンチラインの仕掛けと、その仕掛けが向けられる対象は、分けて考えたい。
リスニングノート · サンプル資料 0 件
制作背景
作品と年代
1999年『Aktapuss (The Soundtrack)』収録。Apple MusicとVolcano公式音源で作品・年代を照合。
制作と録音
Volcano提供のアルバム音源はKey Tec / Wave Form 7 Productionsを制作、CJ Mooreを録音・ミックスとして記載する。
アルバム版とシングル版
コレクターによる盤面クレジットの転記は、アルバムと「Take A Lick」シングルB面で制作表記・曲尺が異なることを示す。本頁は公式配信のアルバム版を選定。
作品の背景
Qobuz掲載のKeith Farley/TiVo評は、Lionel C. Martin監督の同名映画のサウンドトラックと説明する。AllHipHopの本人インタビューは、Lord Finesseと公演へ出向いたMCとしての経験を伝える。
サンプル元
本人・制作陣の証言と曲別資料を照合。聴き方は資料に基づく編集上の考察。実再生は未検証。
確認できた引用関係のみを掲載。未掲載はサンプル不使用の認定ではない。
出典
Apple Music: Aktapuss - The Soundtrack
Qobuz: Aktapuss track-level credits
Dig It Out: Akinyele original US LP and12-inch catalog
Hip Tank Records: Aktapuss original US2LP