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無言歌集 第5巻 Op.62-6「春の歌」
歌詞のない歌をめざした無言歌集の中で最も親しまれる一曲です。明るいイ長調の旋律に春のきざしを重ねた小品です。言葉がないのに歌っているように聞こえるところが、無言歌の大好きな魅力です。
作曲の経緯
無言歌集は1829〜45年に書かれた全8巻48曲のピアノ小品集で、第5巻Op.62は1844年に出版されました。「春の歌」はその最終曲にあたります。英国ではロンドンのカンバーウェル・グリーンで書かれたとされ、「カンバーウェル・グリーン」の名でも呼ばれました。当時は妻の親戚であるベネッケ家に滞在していたと伝わります。第5巻の曲は作曲者自身が連弾にも編み、1844年にヴィクトリア女王へ贈られました。メンデルスゾーンは友人が無言歌に歌詞を付けようとした際、音楽は言葉より曖昧なのではなく、むしろ言葉より明確だと返しています。歌詞なしでも歌のように語りかける、という無言歌の考えを軽やかな旋律で示した一曲です。
出版・初演
第5巻Op.62として1844年に出版されました(無言歌集全体はOp.19〜Op.102の8巻)。
題名・通称の由来
「春の歌」は楽譜冒頭の発想標語(春の歌のように、の意)に由来すると日本語の解説にあります。48曲中、作曲者自身の題と確認できるのは5曲のみで、他は出版社の付題か発想標語由来です。英国での別名「カンバーウェル・グリーン」は作曲地とされる地名からです。
構成分析
- 曲集内の位置 第5巻(Op.62)の第6曲で、巻の締めくくりです。
- 調と速度 イ長調、Allegretto graziosoです。
- 演奏時間 約2分半です(PTNA)。
- 技巧上の焦点 小音符で書かれた装飾的な音型を旋律にどう溶け込ませるかが課題とされます(PTNA)。
音楽的特徴
歌詞のない器楽曲でありながら、歌い手に語らせるような抒情を目指した無言歌の代表作です。明るいイ長調の旋律に、小音符の装飾的な動きが添えられ、春の軽やかさを思わせます。技巧は高度ではなく、アマチュアにも弾きやすいことが曲集全体の人気を支えました。ヴァイオリンやフルートなど他楽器への編曲も多く、日本では駅の発車メロディとしても使われています。
演奏のポイント
小音符の音型を旋律から浮かせず、旋律の一部として滑らかに溶け込ませることが要点です。繊細な技術と感覚が求められるとされます。伴奏は旋律の邪魔をしない軽さを保つとよいです。
この音源について(収録エピソード)
バレンボイムは1970年代前半にDGで無言歌集を全曲録音し、1974年に3枚組LPとして発売しました。Discogsの注記では、1973年6月にパリ、同年12月にロンドン・ハムステッドのロスリン・ヒル礼拝堂で収録されました。Op.62-6『春の歌』は第5巻にあたり、LP2枚目のB面に入っています。DGはバレンボイムの80歳記念で限定復刻しました。
音源の投稿元(Daniel Barenboim - Topic)はoEmbedで確認済みです。1974年盤との1対1対応は、題名表記(MWV U161)からの推定です。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
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映画・ドラマ・アニメ
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CM
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教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- 無言歌集 Op.62-3「葬送行進曲」
- 無言歌集 Op.62-5「ヴェネツィアの舟歌」
- 無言歌集 Op.67-4「紡ぎ歌」
- ファニー・メンデルスゾーンのピアノ小品
トリビア
- 作曲者自身が題を付けたと確認できる無言歌は48曲中5曲のみです。
- 無言歌という題は、姉ファニーの手紙から、メンデルスゾーン自身の発案らしいとされます。
- 日本では各地の駅の発車メロディにも使われています。