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交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」第4楽章「歓喜の歌」
ベートーヴェン最後の交響曲の終楽章です。シラーの詩に曲を付けた歓喜の主題が、低弦の静かな入りから独唱と合唱を伴う大合唱へ広がります。
作曲の経緯
ベートーヴェンがシラーの詩『歓喜に寄す』に曲を付けたいと思い立ったのは1792年、まだ22歳の頃だったとされます。交響曲第7番から数年を経た1815年頃に作曲が動き出し、1817年にロンドンのフィルハーモニック協会から交響曲を依頼されたことで本格化しました。当初は器楽だけの交響曲と、声楽を含む「ドイツ交響曲」を別々に書く構想だったが、のちに二つの案を一つにまとめて現在の形になりました。歓喜の旋律が固まったのは1822年頃で、先に考えていた終楽章の旋律は弦楽四重奏曲第15番の第5楽章に流用されました。1824年に初稿が完成し、初演までに何度か手直しされています。作曲者は当初ベルリンでの初演を望んだが、ウィーンの支援者たちの嘆願を受けてウィーン初演に落ち着きました。
出版・初演
初演は1824年5月7日、ウィーンのケルントナートーア劇場です。実際の指揮はミヒャエル・ウムラウフが担い、ベートーヴェンは各楽章のテンポを示す役で舞台に立ちました。出版は1826年、ショット社です。
題名・通称の由来
ベートーヴェン自身は表題を付けていません。第4楽章に合唱が入ることから「合唱付き」と通称され、日本では「第九(だいく)」とも呼ばれます。歌詞はシラーの詩『歓喜に寄す』から約3分の1を抜粋し、一部を作曲者が編集したものです。
構成分析
- 第4楽章の冒頭(Presto) 不協和音の激しい序奏で始まり、低弦のレチタティーヴォ風の呼びかけと、第1〜3楽章の主題の回想・否定が続きます。
- 歓喜の主題の提示 低弦のユニゾンで静かに歓喜の主題が現れ、徐々に楽器が加わって大きく展開します。
- バリトン独唱「おお友よ、このような音ではない」 作曲者自身が付け加えた言葉で声楽が登場し、続いて合唱と四重唱へ進みます。
- 行進曲風の変奏と二重フーガ トルコ風の行進曲を経て、二つの主題を組み合わせるクライマックスの合唱フーガへ進みます。
- コーダ(Prestissimo) 合唱と独唱、管弦楽が一気に加速し、祝祭的に全曲を締めくくります。
音楽的特徴
ソナタ形式の第1楽章、スケルツォの第2楽章、変奏曲の第3楽章のあと、第4楽章に声楽を導入した点が当時としては大胆です。第3・第4楽章が続けて変奏曲である点も異例です。トライアングル、シンバル、バスドラムなど、他のベートーヴェンの交響曲にない打楽器も使われます。
演奏のポイント
低弦だけで始まる歓喜の主題の静かな入りと、そこから楽器が増えていく積み上げを追ってみたいです。バリトンの最初の一声の力強さにも惹かれます。声楽が加わる後半の約20分では、独唱者・合唱・管弦楽のバランスが取れているかが聴きどころです。
この音源について(収録エピソード)
カラヤンはベルリン・フィルとの最初の全集録音を1961年12月に始め、1962年11月の第九で締めくくりました。第九のためにウィーン楽友協会合唱団(ウィーン・ジングフェライン)をわざわざベルリンの教会に招き、独唱陣も当時望みうる最良の顔ぶれをそろえたとDGは記しています。1963年に発売されたこの全集は、DGにとって全9曲を一度に録音し、あらかじめ計画した予約制の企画として出した初のベートーヴェン全集であり、豪華な装丁でも出されました。のちの復刻ボックスには、第九のリハーサル音源を収めたBlu-ray Audioが付き、カラヤンの練習での簡潔な指示を聴くことができます。
音源の投稿元(Berliner Philharmoniker - Topic)はoEmbedで確認済みです。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(独唱:ヤノヴィッツ、レッセル=マイダン、クメント、ベリー)(1962)
ドイツ・グラモフォン。1961〜62年の全集の最後に録音されました。1963年に発売されました。 - ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管(1951)
戦後最初のバイロイト音楽祭での演奏です。『バイロイトの第九』として知られ、日本の評論家に特に高く評価されてきました。 - フェリックス・ワインガルトナー/ウィーン・フィル(1935)
世界初の交響曲全集に含まれる録音です。
映画・ドラマ・アニメ
- 時計じかけのオレンジ(1971)
暴力映画を見せられる条件づけ療法の場面などでベートーヴェンの第九(第4楽章)が使われます。映画音楽盤ではウェンディ・カルロスのシンセサイザー版が収録されています。 - バルトの楽園(2006)
徳島の板東俘虜収容所でドイツ兵捕虜が第九を演奏した史実に基づく映画です(監督:出目昌伸)。史実との相違点はWikipedia側に注記があります。
CM
- サントリー『2020年の希望』篇
2020年12月に全国OAが始まりました。幾田りらが第九(歓喜の歌)を歌唱しています。サントリーが1983年から開催する『サントリー1万人の第九』にちなむ起用です。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
同じ作曲者の曲
トリビア
- 初演時はソプラノ独唱が18歳のゾンターク、アルトが21歳のウンガーと若く、リハーサルも2回しかなかったと伝わります。観客の拍手に気づかないベートーヴェンを、アルト歌手が聴衆の方へ向けたという逸話もあります(逸話として伝わる話)。
- 日本での全曲演奏の最初とされるのは1918年6月1日、徳島県の板東俘虜収容所でのドイツ兵捕虜による演奏です。男声用に編曲され、ファゴットなどはオルガンで代用されました。ただし「初演」とは言えないとする意見もあります。
- CDの収録時間が約74分になったのは第九が1枚に収まるように配慮したため、という話が伝わるが、これは伝聞として語られるものです。
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出典
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