SUBURBIA CLASSICA › Songs › 管弦楽・室内楽
行進曲「威風堂々」第1番
エルガーが1901年に書いた行進曲です。弱音で始まる『希望と栄光の国』のトリオが全管弦楽で堂々と再現され、英国の祝祭や各国の卒業式で親しまれています。
作曲の経緯
『威風堂々』第1番は1901年に作曲され、友人アルフレッド・E・ロドウォルドとリヴァプール管弦楽協会に献呈されました。同年10月19日にリヴァプールでエルガー自身の指揮により、第2番とともに初演されます。2日後にはロンドンのクイーンズ・ホールのプロムナード・コンサートで、ヘンリー・ウッドの指揮により演奏されました。ウッドの回想では、聴衆が立ち上がって叫び、管弦楽曲としては例のない二度のアンコールに応えたといいます。翌1902年には、トリオの旋律が国王エドワード7世のための『戴冠式頌歌』の『希望と栄光の国』に転用されました。さらに1905年6月28日、エルガーが名誉博士号を受けたイェール大学の卒業式で演奏され、これが米国などで卒業式の行進曲として定着する端緒となりました。
出版・初演
1901年10月19日リヴァプールで初演されました(エルガー指揮、リヴァプール管弦楽協会)。ロンドン初演は同月21日のクイーンズ・ホール・プロムスです(ウッド指揮)。ブージー社(Boosey & Co.)より1901〜02年に出版されました。
題名・通称の由来
題名の『Pomp and Circumstance(威風堂々)』はシェイクスピア『オセロ』第3幕第3場の台詞からです。第1番の楽譜には、ド・タブリー卿の詩『栄光の行進』の一節も全曲集のモットーとして添えられました(英Wikipedia)。
構成分析
- 序奏と行進曲主部 Allegro con molto fuoco(活気に満ちて火のように)の序奏から、低音が旋律とぶつかる力強い主題が現れます。主部は反復されます。
- ブリッジ 金管の和音と木管・弦の保持音のあと、トランペットとトロンボーンのファンファーレが冒頭の主題を呼び戻します。
- トリオ ト長調で、第1ヴァイオリン、ホルン4本、クラリネットが弱音で提示します。続いて2台のハープを含む全管弦楽で反復されます。
- 再現と結び 行進曲主部が戻り、トリオは主調ニ長調でオルガンも加わって堂々と再現されます。曲は大旋律ではなく、冒頭の活発な主題の回想で閉じられます。
音楽的特徴
弱音で始まる『希望と栄光の国』のトリオと、全管弦楽・オルガン・ハープを動員した再現との対比が聴きどころです。編成にはバス・クラリネット、コントラファゴット、コルネット、オルガン、ハープ2台などが含まれます。
演奏のポイント
主部は低音と旋律が衝突する推進力を保ち、トリオは弱音で歌い出して、再現で一気に開放するのが聴きどころです。大旋律で曲が終わらず、冒頭の活発な主題に戻って結ぶ点にも注意が必要です。エルガー自身の録音は約4分25秒で、のちの指揮者はやや遅めの傾向があります(英Wikipedia)。
この音源について(収録エピソード)
第1番は1962年8月29日、ロンドンのキングスウェイ・ホールでバルビローリ指揮フィルハーモニア管弦楽団が録音しました。第2〜5番の大半は1966年に、改称後のニュー・フィルハーモニア管と収録されています。2020年のWarner Classics盤は、アナログのオリジナル・マスターから192kHz/24bitで高解像度化されました。『Gramophone Classical Music Guide』は、フィルハーモニア管の好調ぶりと5曲全曲を聴ける点を高く評価しています。
音源の投稿元(Sir John Barbirolli - Topic)はoEmbedで確認済みです。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- エルガー自身の指揮(1926〜30(5曲の録音期間))
作曲者による第1番の録音は4分25秒です(英Wikipedia)。 - サー・ジョン・バルビローリ/フィルハーモニア管弦楽団(1962)
ロンドン、キングスウェイ・ホールです。第1番は1962年8月29日録音です(Presto Music)。
映画・ドラマ・アニメ
確認できた出典はありません。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- 行進曲「威風堂々」第2〜5番(第6番はアンソニー・ペインが補筆・2006年)
- エルガー 戴冠式頌歌 Op.44
- 『希望と栄光の国』
- BBCプロムス・ラスト・ナイト
- エルガー 序奏とアレグロ(サミュエル・サンフォードへの献呈作)
トリビア
- この曲は1901年以降のプロムスのほぼ毎シーズンで演奏され、1944年以降は毎年演奏されています(英Wikipedia)。
- ジョージ6世とエリザベス2世の戴冠式では、退場音楽の最初の曲として第1番が演奏され、続いて第4番が奏されました(英Wikipedia)。
- カナダ、フィリピン、米国では、トリオ部分が単に『Pomp and Circumstance』や『卒業行進曲』と呼ばれ、多くの高校・大学の卒業式の入場曲になっています(英Wikipedia)。