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喜歌劇「天国と地獄」序曲(カンカンを含む)
オッフェンバックの喜歌劇の旋律をウィーンでビンダーがつないだ序曲です。終盤の「地獄のギャロップ」は、カンカン踊りの定番曲として世界中で知られています。おなじみのカンカンへ着くまでに、ヴァイオリン独奏の語り口も楽しめます。
作曲の経緯
オッフェンバックは1850年代半ば、パリの小劇場ブッフ・パリジャンで一幕物の喜歌劇を次々に上演していたが、上演規則により歌手は4人までに制限され、長い作品は書けませんでした。1858年に規制が緩むと、かねて温めていた二幕物に取りかかります。以前コメディ=フランセーズの音楽監督を務めた時期に、気取った神々や英雄の芝居に退屈し、仕返しをしたいと台本作家クレミューに語っていたといいます。台本はクレミューとアレヴィの構想から出発し、最終的にクレミュー名義となりました。1858年10月21日の初演後、批評家ジャナンが「古代への冒涜」と激しく非難したことが逆に話題を呼び、観客が押し寄せて大入りとなりました。なお、いま広く知られる序曲はオッフェンバック本人の作ではなく、1860年のウィーン上演のためにカール・ビンダーが劇中の旋律を集めて作ったものです。
出版・初演
喜歌劇は1858年10月21日、パリのブッフ・パリジャン座(サル・ショワズール)で初演されました(二幕版)。1874年2月7日にはガイテ座で四幕版が上演されました。広く演奏される序曲は、1860年のウィーン(アン・デア・ウィーン劇場)上演のためにビンダーが編曲しました。
題名・通称の由来
原題Orphée aux enfersは「地獄のオルフェ(オルフェウス)」の意味です。「Galop infernal」は「地獄の(猛烈な)ギャロップ」という意味の曲名です。1890年代にパリのムーラン・ルージュやフォリー・ベルジェールがこの曲をカンカン踊りの伴奏に採用し、以後「カンカン」の名で親しまれました。日本語題「天国と地獄」の由来は未確認です。
構成分析
- 序盤(ゆったりした導入) 劇中の旋律を使った静かな部分から始まります(細部の曲名は未確認です)。
- 中盤(劇中旋律のつなぎ) ウィーン版序曲はオルフェのヴァイオリン独奏を前面に出し、劇中の旋律をメドレー風に並べます。
- 終盤(ギャロップ) 劇の第2幕(1874年版では第4幕)の終幕場面に由来する「地獄のギャロップ」です。神々が大騒ぎで踊る場面の曲で、序曲を締めくくります。
音楽的特徴
オッフェンバックは「ギャロップ・アンフェルナル」のような速い曲で、同じ調を長く保ち楽器編成もほぼ一定にする簡潔な書き方をしている、と研究者が指摘しています。原曲は、のちの上品なカンカンより遥かに自然発生的で乱痴気騒ぎ的だったとされます(ケック氏は現代のレイヴになぞらえています)。
演奏のポイント
オルフェを示すヴァイオリン独奏の語り口、そして終盤でテンポが一気に上がるギャロップの高揚感が聴きどころです。ギャロップは速度を上げすぎず、軽さと勢いのバランスをどう取るかで印象が変わります。
この音源について(収録エピソード)
カラヤンはオッフェンバック没後100年にあたる1980年に、「天国と地獄」「青ひげ」「ジェロルスタン女大公殿下」「美しきエレーヌ」「ヴェール=ヴェール」の各序曲を収めたオッフェンバック録音集を作った、とカラヤン研究所の記事に記されています。これに先立ち、カラヤンはフィルハーモニア管との最後の録音セッションでも「天国と地獄」序曲を録音しており、ヒュー・ビーンのヴァイオリン独奏が称賛されました。ただし、このYouTube音源がどの録音か(ベルリン・フィルの1980年頃のものか)は確認できていません。
音源の投稿元(Berliner Philharmoniker - Topic)はoEmbedで確認済みです。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1980年頃(未確認))
オッフェンバック没後100年にあたり、序曲を集めた全オッフェンバック盤を録音しています(karajan.org)。 - ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1960年)
カラヤンがフィルハーモニア管と行った最後の録音セッションで、ヒュー・ビーンのヴァイオリン独奏が称賛されました(karajan.org)。
映画・ドラマ・アニメ
確認できた出典はありません。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- オッフェンバック:ホフマン物語の舟歌
- ロッシーニ:ウィリアム・テル序曲
- スッペ:軽騎兵序曲
- グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」(本作がパロディの対象)
トリビア
- 現在よく演奏される序曲はオッフェンバックの作ではなく、1860年にウィーンでカール・ビンダーが編んだものです。
- 初演版は228回上演されました(初演の公演は1859年6月に、出演者が疲れ切ったため打ち切られたとされます)。当時は100回で成功と言われました。
- 1890年代にムーラン・ルージュとフォリー・ベルジェールがこの曲をカンカンに使い、曲と踊りが結びつきました。