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歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
復讐の誓いの直後、無人の広場に流れるマスカーニの静かな間奏曲です。弦の長い旋律が嵐の前の静けさを描き、映画『レイジング・ブル』でも知られています。
作曲の経緯
1888年7月、ミラノの出版社ソンゾーニョが、舞台上演の経験がない若手イタリア人作曲家を対象に一幕物オペラのコンクールを告知しました。マスカーニは締切のおよそ2か月前にこれを知り、友人で詩人のタルジョーニ=トッツェッティにヴェルガの短編・戯曲『カヴァレリア・ルスティカーナ』の台本化を頼みます。台本はギデナシと共同で、葉書の裏に数節ずつ送られてきたといいます。出来に自信が持てなかったマスカーニが草稿を引き出しにしまい込むと、妻リーナがそれを取り出し、受付最終日に応募しました。73作のなかから最終の3作に選ばれ、1890年5月17日にローマのコスタンツィ劇場で初演されて大成功を収めます。間奏曲は、アルフィオが復讐を誓った直後、人けのなくなった広場で流れる静かな一曲です。
出版・初演
初演:1890年5月17日、ローマ・コスタンツィ劇場です(指揮レオポルド・ムニョーネ)。初版:1890年ミラノ、ソンゾーニョ社です(IMSLP)。
題名・通称の由来
歌劇の題名 Cavalleria rusticana は『田舎の騎士道(農民の名誉)』の意味です(英Wikipedia)。Intermezzoは幕の間に置かれる間奏曲の意味です。
構成分析
- 位置づけ 歌劇の唯一の幕間です。アルフィオがトゥリッドゥへの復讐を誓う場面の直後、舞台は無人のまま管弦楽だけが奏されます。
- 素材 旋律は、歌劇冒頭の復活祭ミサで合唱が歌う『レジーナ・チェリ』の聖歌に基づくとされます(AllClassical解説)。
- 表情 嵐の前の静けさを作る穏やかな一曲です。主旋律を弦が歌い、オルガンやハープが加わる編成が歌劇の指定にあります。
音楽的特徴
ヴェリズモ(写実主義)の血なまぐさい筋立ての只中に置かれた、きわめて抒情的で静謐な間奏曲です。歌劇の編成にはオルガン、ハープ2台、チューブラーベルなどが含まれます。
演奏のポイント
息の長い弦の旋律をどこまで途切れさせずに歌い継げるかが要です。直前の緊迫と直後の酒盛りの場面との落差を意識し、テンポを急がず静けさを保つと、劇中での役割が際立ちます。
この音源について(収録エピソード)
この間奏曲は1967年9月25日、ベルリンのイエス・キリスト教会でカラヤンとベルリン・フィルが録音しました。同じ日付で『椿姫』前奏曲、『道化師』『マノン・レスコー』『タイス』の瞑想曲、『友人フリッツ』の間奏曲など、全12曲のオペラ間奏曲集が収められています。カヴァレリアのトラックではヴォルフガング・マイヤーがオルガンを担当しました。『Stereo Record Guide』は、この演奏の落ち着いた息づかいを評価しています。
音源の投稿元(Wolfgang Meyer - Topic)はoEmbedで確認済みです。同名義のTopic動画が2本あり、1967年盤との対応は検索表示からの推定です。「未確認」は出典で確認できなかった項目です。
録音
実在と年を出典で確認できたもののみ掲載しています。
- ピエトロ・マスカーニ指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団(1940)
歌劇の初演50周年を記念した全曲録音です。ジーリ、ブルーナ・ラーザ出演、マスカーニ自身の語りによる序文付きです(英Wikipedia)。 - ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1967)
『オペラ間奏曲集』所収です。オルガンはヴォルフガング・マイヤーです(Presto Music)。
映画・ドラマ・アニメ
- レイジング・ブル(1980)
冒頭のタイトル場面とエンドクレジットで使用されています(英Wikipedia『Cavalleria rusticana』)。OperaWireはこれを冒頭と終幕を挟む『ブックエンド』として論じています。 - ゴッドファーザー PART III(1990)
終盤の場面で間奏曲が使われ、同作の山場では歌劇そのものの上演も描かれます(英Wikipedia)。
CM
確認できた出典はありません。
教科書・鑑賞教材
教科書・鑑賞教材での掲載を示す出典は確認できませんでした。
関連作品
- 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」全曲
- レオンカヴァッロ 歌劇「道化師」(二本立て『カヴ・パグ』)
- マスカーニ 歌劇「友人フリッツ」間奏曲
- ヴェルガの短編小説・戯曲『カヴァレリア・ルスティカーナ』
- Ave Maria(間奏曲の旋律にピエロ・マッツォーニがラテン語祈祷文を付けた編曲)
トリビア
- 歌劇は、妻リーナが引き出しから草稿を取り出してコンクールに応募したことで世に出たと伝えられます(英Wikipedia)。
- 1893年以降、歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』はレオンカヴァッロの『道化師』との二本立て(Cav/Pag)で上演されることが多いです(英Wikipedia)。
- 1920年代のシカゴの黒人劇場では、アースキン・テイト楽団がこの歌劇の音楽を演奏し、ルイ・アームストロングがトランペットのソロを覚えて演奏したといいます(英Wikipedia、Brothers 2014を出典とする記述)。