剰余金の配当 — 決議・準備金・支払いを分けるの講義・例題
剰余金の配当 — 決議・準備金・支払いを分けるをオリジナル解説・例題・演習で学ぶ。日商簿記3級、2026年度範囲。
日商簿記3級 / 2026年度範囲(2027年3月31日まで) / オリジナル教材
配当は費用ではなく利益の分配
本稿の簡易な配当では、繰越利益剰余金をもとに株主へ配当する額と、利益準備金へ振り替える額を問題で与えます。その額が法的に配当できるか、準備金の必要額を法定の式で計算するかは扱いません。
配当は利益の分配なので、当期の売上原価や給料と同じ費用ではありません。配当額を当期純利益からもう一度引いて損益計算書の利益を減らす処理はしません。繰越利益剰余金の減少として記録します。
決議して未払いなら未払配当金を立てる
配当決議により配当債務を計上し、まだ支払わない条件なら、借方 繰越利益剰余金/貸方 未払配当金とします。利益準備金への振替も指定されている場合は、その額も繰越利益剰余金の借方に含め、貸方 利益準備金へ置きます。
したがって繰越利益剰余金の減額は配当額+準備金振替額です。ただし純資産全体の減少は配当額だけ。準備金分は純資産内部で移るだけだからです。決議だけで未払いなら、預金残高はまだ減りません。
支払いは既に記録した負債を消す
後日に配当を普通預金から支払ったときは、借方 未払配当金/貸方 普通預金です。配当決議時に繰越利益剰余金を既に減らしたので、支払時にもう一度減らしません。
一部だけ支払った場合は、実際に支払った額だけ未払配当金を減らし、まだ払っていない残額を負債に残します。この講義では源泉徴収等の税務処理はなく、支払額をそのまま預金の減少額とします。
指定額0なら0の仕訳行を作らない
問題で今回の利益準備金への振替額が0円と与えられた場合、準備金の行は不要です。配当額だけ繰越利益剰余金から未払配当金へ振り替えます。ここでは必要額の法律判断をしたという意味ではなく、与えられた0円という条件を適用します。
出資・当期純利益・配当・準備金振替・実際の支払は、それぞれ資本金、利益剰余金、負債、預金へ違う影響を与えます。最後に資産=負債+純資産で検算すると、支払時の二重減額などを発見しやすくなります。
例題
配当と準備金の決議をまとめる
繰越利益剰余金から配当24,000円を行い、利益準備金への振替額は2,000円と指定されている。決議に伴う配当債務を計上するが、支払いは後日。必要額や法的可否の計算は行わない。
解き方と答え
- 借方 繰越利益剰余金26,000/貸方 未払配当金24,000・利益準備金2,000。
- 準備金2,000は内部移動なので、純資産全体の減少は24,000。未払いなので預金は変わらない。
繰越利益剰余金の減少26,000と、純資産合計の減少24,000を区別する。
一部支払いなら未払残額を残す
正しく計上済みの未払配当金24,000円のうち、15,000円を普通預金から支払った。税金等なし。
解き方と答え
- 借方 未払配当金15,000/貸方 普通預金15,000。
- 未払残高は24,000−15,000=9,000。繰越利益剰余金をもう一度減らさない。
負債を実支払分だけ減らし、未払9,000円を残す。
利益と配当後の蓄積を混同しない
当期純利益は40,000円で確定している。その利益を既に含む繰越利益剰余金は90,000円。配当10,000円と、指定された準備金振替1,000円を決議し、未払いである。
解き方と答え
- 当期純利益は40,000のままで、配当10,000を費用として引かない。
- 繰越利益剰余金は90,000−10,000−1,000=79,000。準備金は1,000増える。
- 純資産合計は配当額10,000だけ減り、未払配当金10,000が増える。
当期純利益40,000円と配当後繰越利益79,000円は別の数字。
出資から配当支払いまでを検算する
期首は普通預金200,000円、資本金150,000円、利益準備金5,000円、繰越利益剰余金45,000円。追加の株主払込み50,000円を全額資本金へ。当期活動の預金純増と純利益はともに20,000円という条件で、利益は正しく繰越利益へ反映済み。その後、配当24,000円と指定準備金振替2,000円を決議し、配当24,000円を全額預金から支払った。他の取引税金なし。
解き方と答え
- 資本金は200,000。配当前の繰越利益は45,000+20,000=65,000。
- 決議後の繰越利益39,000、準備金7,000。全額支払いで未払配当金0。
- 預金200,000+50,000+20,000−24,000=246,000。純資産200,000+7,000+39,000=246,000。
出資・利益・内部振替・配当支払いを別々に追うと資産と純資産が一致する。
間違えやすいところ
- 配当を費用にして当期純利益を減らさない。
- 配当決議の時点と支払時点を分ける。
- 準備金分まで純資産合計の減少に含めない。
採点と記録にはJavaScriptを使います。配点はこの教材独自のものです。
