帳簿の締切 — 残高を次期へ引き継ぐの講義・例題
帳簿の締切 — 残高を次期へ引き継ぐをオリジナル解説・例題・演習で学ぶ。日商簿記3級、2026年度範囲。
日商簿記3級 / 2026年度範囲(2027年3月31日まで) / オリジナル教材
収益費用を閉じ、資産負債純資産を繰り越す
収益・費用は損益への振替で、損益は繰越利益剰余金への振替で残高0にします。その期の期間計算はここで区切ります。売上や給料の一年分を、そのまま翌期の売上や給料へ持ち越すわけではありません。
英米式決算法では、資産・負債・純資産の各元帳について、残高を小さい側に次期繰越として記入して貸借の合計をそろえ、翌期の同じ勘定の本来の残高の側に前期繰越として記入します。この帳簿上の繰越記入は、新しい現金受払や損益の仕訳ではありません。
次期繰越と前期繰越の側を取り違えない
現金が借方残高なら、当期を締め切る次期繰越は貸方へ記入します。翌期を開始する前期繰越は借方です。買掛金が貸方残高なら、当期の次期繰越は借方、翌期の前期繰越は貸方になります。
次期繰越を記入した結果の両側合計は、差引残高と同じ額とは限りません。元の大きい側の合計へ、小さい側を繰越で合わせるからです。
仕訳帳の合計と元帳の残高は別の数値
仕訳帳には決算整理・収益費用振替・純損益振替を含め、記帳した仕訳の借方金額と貸方金額を集計して締め切ります。その累計額は、整理後試算表の残高合計でも当期利益額でもありません。
英米式の各元帳で行う次期繰越の記入を、新しい取引の仕訳として仕訳帳へ重ねて加えないでください。締切後の収益・費用・損益が0であることと、資産負債等の残高が翌期へつながることを確認します。
補助元帳は相手先別の残高を保つ
売掛金元帳や買掛金元帳では、相手先ごとの残高を締め切り、翌期へ引き継ぎます。相手先残高の合計を総勘定元帳の統制勘定と照合します。合わない場合は、どちらに転記漏れがあるか証ひょう・仕訳・取引明細へ戻って調べます。
総勘定元帳には正しく記録済みで、補助元帳だけに漏れがあったなら、補助元帳を補います。同じ売上仕訳をもう一度総勘定元帳へ入れると、統制勘定まで過大になります。
取引合計を締め切る帳簿と残高を引き継ぐ帳簿
年度末で当期の仕入帳・売上帳を締め切り、新年度の取引を集計するとき、前年度の仕入・売上合計を新年度の取引額へ重ねて加えません。一方、商品有高帳は期末に実際に残る数量と取得原価を、翌期首の在庫として引き継ぎます。
同じ年度内でページを改めるときの累計の繰越と、年度を区切る締切は別です。この講義で「翌期」と呼ぶのは、別途指定がない限り新しい会計年度です。
例題
借方残高と貸方残高を反対側で締める
純損益振替まで済んだ現金元帳は借方合計30,000円・貸方合計15,000円、買掛金元帳は借方合計10,000円・貸方合計25,000円。次期繰越の記入前で、英米式により締め切る。
解き方と答え
- 現金は借方残高15,000。貸方に次期繰越15,000を入れ、貸借合計30,000。翌期は借方へ前期繰越15,000。
- 買掛金は貸方残高15,000。借方に次期繰越15,000を入れ、貸借合計25,000。翌期は貸方へ前期繰越15,000。
締切記入の側と、翌期開始の残高の側は逆。
決算仕訳を含む仕訳帳を合計する
決算整理まで含む仕訳帳の借方累計・貸方累計は各200,000円。その後、収益70,000円の損益振替、費用50,000円の損益振替、純利益20,000円の繰越利益剰余金への振替をそれぞれ記録した。英米式元帳の次期繰越は仕訳帳へ加えない。
解き方と答え
- 追加した仕訳の片側金額は70,000+50,000+20,000=140,000。
- 仕訳帳は借方・貸方それぞれ340,000。収益費用と損益勘定は振替で0になっている。
仕訳帳合計340,000は純利益20,000や残高試算表合計とは別。
補助簿だけの転記漏れを直す
売掛金総勘定元帳の残高は31,000円で正しい。補助元帳はA社18,000円、B社11,000円で合計29,000円。証ひょうで、総勘定元帳へ記録済みのB社掛売上2,000円が補助元帳だけ未転記と判明した。
解き方と答え
- 差額31,000−29,000=2,000。B社補助元帳の借方へ2,000を補い、残高13,000にする。
- A18,000+B13,000=31,000となり総勘定元帳と一致。
- 総勘定元帳へ新しい売上仕訳は追加せず、翌期の補助残高へA18,000・B13,000を引き継ぐ。
相手先の内訳を修正し、統制勘定を二重に増やさない。
翌期へ渡すのは取引額ではなく残った在庫
年度末の仕入帳は当期合計30,000円、売上帳は当期合計40,000円。商品有高帳の期末在庫は8個、原価合計8,000円で正しい。翌期は新しい会計年度で、まだ取引なし。
解き方と答え
- 翌期の新たな仕入・売上の取引合計は、ともに0から始まる。前年度の30,000・40,000を新年度取引へ重複して含めない。
- 商品有高帳では前期末に残った8個・8,000円を翌期首残高へ引き継ぐ。
期間の取引合計と、期末に残る数量・原価を区別する。
間違えやすいところ
- 次期繰越を本来の残高と同じ側へ記入してしまわない。
- 補助簿だけの漏れを修正するために総勘定元帳まで二重記帳しない。
- 前年度の仕入・売上合計を新年度の取引として持ち越さない。
採点と記録にはJavaScriptを使います。配点はこの教材独自のものです。
