税金 — 費用・仮払い・預りを分けるの講義・例題
税金 — 費用・仮払い・預りを分けるをオリジナル解説・例題・演習で学ぶ。日商簿記3級、2026年度範囲。
日商簿記3級 / 2026年度範囲(2027年3月31日まで) / オリジナル教材
税という名前だけで同じ科目にしない
この章では、当期費用とする固定資産税などを租税公課、法人税・住民税・事業税を法人税、住民税及び事業税という費用科目で扱います。同じ銀行から納付しても、目的が違えば科目は別です。税額は問題の与件を用い、実際の税率や課税標準を計算する授業ではありません。
消費税はこの章で指定する税抜方式に限ります。税抜価格と税額を別勘定にし、この章の単純な条件では売上・仕入の金額や通常の費用へ税額を混ぜません。現行法の全取引に同じ扱いを一般化しないでください。
法人税等は当期の費用と既払額を突き合わせる
法人税等の中間納付時は、当期の最終税額がまだ確定していない前提で、借方 仮払法人税等/貸方 普通預金とします。仮払法人税等は既に支払った額を一時的に置く資産です。
決算では、問題で与えられた当期の確定税額全体を法人税、住民税及び事業税の借方へ記録し、既払分を仮払法人税等の貸方で消し、未納の残額を未払法人税等へ計上します。この章は確定税額が既払額以上となる簡易な場合だけです。
翌期の納付時は、借方 未払法人税等/貸方 普通預金として負債を消します。当期決算で費用にした額を、納付のたびに再度費用へ計上しません。
税抜価格から税額を分ける
練習問題では各設問が消費税率を明示し、税込額=税抜額×(1+指定税率)とします。例えば練習上の税率を10%としたとき、税抜20,000円に対する税額は2,000円、税込額は22,000円です。税込額から逆算するなら税込額÷1.10が税抜額です。これは設問限定の計算条件で、実務の適用税率の案内ではありません。
商品の仕入れは借方 仕入(税抜額)と仮払消費税(税額)、販売は貸方 売上(税抜額)と仮受消費税(税額)に分けます。掛けの場合の買掛金・売掛金は実際に決済する税込総額です。仮払法人税等と仮払消費税は、税の種類も後の精算相手も違います。
返品では元の税額の向きも戻す
まだ掛代金が未決済の商品の返品では、元の仕訳の該当部分を逆方向へ戻します。仕入返品は借方 買掛金(戻す税込額)/貸方 仕入(税抜額)・仮払消費税(税額)です。売上返品は借方 売上(税抜額)・仮受消費税(税額)/貸方 売掛金(戻す税込額)です。
この章では元の取引と返品の税率が同じで、返品額・未決済の条件を明示します。税込の返品額をすべて仕入や売上へ入れたり、減らすべき仮払・仮受をさらに増やしたりしないでください。
仮受と仮払を決算で相殺し、残る未納額を計上する
各設問で「仮払消費税はすべて相殺対象、ほかの調整なし」と指定した単純な条件では、納付額=仮受消費税−仮払消費税です。この章の納付例は仮受が仮払より多い場合です。現実の控除の可否や特例はこの式だけでは判定できず、ここでは扱いません。
決算時は仮受消費税を借方、仮払消費税を貸方へ記入して両方を消し、残りを未払消費税の貸方へ置きます。後日の納付は未払消費税を借方で消して預金を減らします。この税抜方式の指定条件では、決算時の相殺や納付を租税公課として再計上しません。
例題
固定資産税を当期費用として納付する
当期費用とする固定資産税8,000円を普通預金から納付した。税額は与件で、ほかの前払い・未払いはない。
解き方と答え
- 税額を資産の取得原価へ加える取引ではなく、与件で当期費用となる固定資産税である。
- 借方 租税公課8,000/貸方 普通預金8,000。
租税公課8,000円。法人税等や仮払消費税へ入れない。
法人税等の中間納付・決算・納付を分ける
中間納付25,000円、当期の確定法人税等75,000円。中間納付を仮払法人税等へ記帳済み。決算後の翌期に差額50,000円を普通預金で納付する。各日を分けて考える。
解き方と答え
- 中間納付時は借方 仮払法人税等25,000/貸方 普通預金25,000。
- 決算時は借方 法人税、住民税及び事業税75,000/貸方 仮払法人税等25,000・未払法人税等50,000。
- 翌期納付時は借方 未払法人税等50,000/貸方 普通預金50,000。
当期費用75,000円、決算時の未払50,000円。納付のたびに75,000円を費用へ追加しない。
税込の掛代金と税抜の売買額を区別する
税抜方式。練習上の税率は10%。税抜20,000円の商品を掛けで仕入れ、別の商品を税込33,000円で掛け売りした。二つの取引を別々に仕訳する。
解き方と答え
- 仕入れは税額2,000、税込22,000。借方 仕入20,000・仮払消費税2,000/貸方 買掛金22,000。
- 販売は33,000÷1.10=税抜30,000、税額3,000。借方 売掛金33,000/貸方 売上30,000・仮受消費税3,000。
税抜価格と税込の掛代金を混ぜない。仕入の仮払2,000、売上の仮受3,000。
返品で税額も反対へ動かす
税抜方式、元の取引も返品も練習上の税率10%。未決済の仕入商品の税抜2,000円分を返品した。また、別の未決済の売上商品の税込5,500円分が返品された。二つの取引を分ける。
解き方と答え
- 仕入返品は税200、税込2,200。借方 買掛金2,200/貸方 仕入2,000・仮払消費税200。
- 売上返品は税抜5,000、税500。借方 売上5,000・仮受消費税500/貸方 売掛金5,500。
どちらも元の取引の該当額を逆方向へ戻す。返品分の仮払・仮受を減らす。
消費税を相殺してから納付する
決算直前の仮受消費税は12,000円、仮払消費税は8,000円。仮払はすべて相殺対象で、ほかの調整はない。税抜方式で決算整理し、翌期に残額を普通預金で納付する。
解き方と答え
- 差額は12,000−8,000=4,000。
- 決算時は借方 仮受消費税12,000/貸方 仮払消費税8,000・未払消費税4,000。
- 翌期納付時は借方 未払消費税4,000/貸方 普通預金4,000。
相殺後の仮受・仮払は0。未払4,000円を後日消すので、費用を重複計上しない。
間違えやすいところ
- 仮払法人税等と仮払消費税を同じ精算で混ぜない。
- 未納差額だけを当期の法人税等の費用としない。
- 税込額をそのまま売上や仕入にしない。
- 決算で既に記録した費用や未払を、後日の納付時に二重計上しない。
採点と記録にはJavaScriptを使います。配点はこの教材独自のものです。
