収益と費用 — 何の成果、何の負担かを読むの講義・例題
収益と費用 — 何の成果、何の負担かを読むをオリジナル解説・例題・演習で学ぶ。日商簿記3級、2026年度範囲。
日商簿記3級 / 2026年度範囲(2027年3月31日まで) / オリジナル教材
入出金と損益を分け、具体的な科目へ進む
収益はサービス提供などの成果、費用はその活動で生じた負担です。入金があっても借入元本なら収益ではなく、出金があっても借入元本返済や返還予定の保証金なら費用ではありません。この章は具体的な収益・費用科目を、取引の目的から選ぶ練習です。
以下の問題は提供済み・使用済みなど当期に帰属することを明示し、まだ受け取っていないサービスや期間配分の決算整理とは分けます。金額の大小だけで収益・費用を判断せず、何の対価かを確認してください。
受け取る手数料、建物賃料、土地賃料、利息
仲介などのサービスを提供した報酬は受取手数料、当社が貸した建物の賃料は受取家賃、貸した土地の賃料は受取地代です。家賃は建物、地代は土地という対象の違いに注意します。保証金を預かっただけの入金は、ここでいう賃料収益ではありません。
資金を貸したことに対する利息は受取利息です。貸付元本の回収額は貸付金を減らし、利息部分だけを収益へ分けます。逆に当社が銀行等へ払う振込・決済手数料は支払手数料という費用で、受取手数料とは側が異なります。
日々の活動費を用途で分ける
従業員の労働に対する給料は給料、宣伝広告の負担は広告宣伝費、業務上の移動・出張の負担は旅費交通費です。携帯電話・郵便等の通信の負担は通信費、当期に使用した文具等の消耗品の負担は消耗品費、電気・ガス・水道等の負担は水道光熱費です。
借りた建物の当期賃料は支払家賃、借りた土地の当期賃料は支払地代、借入元本に対する当期利息は支払利息です。借りた建物や土地の購入ではないので、その資産の取得原価へはしません。未使用消耗品や翌期分の費用をどう整理するかは決算章で扱います。
雑費は、他の特定の費目へ分類せず少額の諸費用をまとめるために使う科目です。何でも分からない支出を雑費にしてよいという意味ではありません。内容未確定なら仮払金等で調べる場面もあり、問題で指定された内容・科目体系に従います。
貸倒損失と会社負担の社会保険料
貸倒損失は債権が実際に回収不能になり、当期の損失として処理する金額です。前章のとおり、前期債権について引当金を使う部分と、当期の損失を分けます。単に回収が遅れたというだけで、ここへ計上するわけではありません。
会社負担の社会保険料などは法定福利費という費用を使います。従業員本人の負担を給与から控除して預かった額は、会社の費用ではなく社会保険料預り金等の負債です。両者を一括で納める問題では、本人預り分を消す部分と会社負担の費用部分を分けます。金額は問題で与え、実際の料率を計算する練習にはしません。
過年度に償却済みの債権が回収できたとき
前期以前に回収不能として処理し、帳簿から既に取り除いていた売掛金等を当期に回収できた場合、この章では償却債権取立益という収益を使います。借方 現金・預金/貸方 償却債権取立益です。
既に消してある売掛金を、回収時にそのまま貸方へ記録するとマイナスの債権を作ってしまいます。前期の貸倒処理を当期の貸倒損失へ戻す処理とも区別します。本稿は前期以前の償却済み債権と明示した基本例に限定します。
期間の収益と費用を集計する
当期の収益合計−当期の費用合計=当期の利益(または損失)です。受取手数料、受取家賃、受取地代、受取利息、償却債権取立益などの収益と、各費用を分けて集計します。
借入れや貸付元本回収などは、通帳の入金額には含まれていても収益合計へ含めません。税金や期間配分を考慮しない問題ではその条件に従い、与えられていない費用を追加推測しないでください。
例題
提供したサービスと貸した物の違い
当期に提供を完了した仲介サービスの報酬8,000円、貸した建物の当月賃料20,000円、貸した土地の当月賃料10,000円、貸付元本とは別の当期利息300円を普通預金で受け取った。各入金を別々に考える。
解き方と答え
- それぞれ貸方は受取手数料8,000、受取家賃20,000、受取地代10,000、受取利息300となる。借方はいずれも普通預金。
- 例えば仲介報酬の仕訳は借方 普通預金8,000/貸方 受取手数料8,000。
- 借入れや前受けではなく、当期の成果の対価と明示されている。
四つの収益合計は38,300円。収益の種類は対価の内容で分ける。
用途から費目を選ぶ
当社が当月のオンライン広告代4,000円、電話料金2,000円、電気料金3,000円、当月使用済み文具代1,000円を現金で支払った。別々の取引として費目を考える。
解き方と答え
- 広告は広告宣伝費、電話は通信費、電気は水道光熱費、使用済み文具は消耗品費。
- 各費用を借方、支払った現金を貸方へ記録する。
- 支払先が同じ事業者でも、用途が違えば同じ費目とは限らない。
費用合計10,000円。全てを雑費へまとめず用途を読む。
本人預り分と会社負担を一括納付する
既に社会保険料預り金として記録した本人負担分5,000円と、未記帳の当期会社負担分7,000円を普通預金から一括納付した。ほかの負担はない。
解き方と答え
- 本人預り分5,000は負債を消すので借方 社会保険料預り金。
- 会社負担7,000は当期費用なので借方 法定福利費。
- 貸方 普通預金12,000とする。
法定福利費は7,000円だけ。支払総額12,000円をすべて費用にしない。
消してあった債権を過年度の損失と混ぜない
前期に貸倒処理を完了して帳簿から除いていた売掛金6,000円を、当期に普通預金で回収できた。関連債権残高は回収直前にゼロである。
解き方と答え
- 前期に債権を消しているので、今の売掛金を減らす処理ではない。
- 借方 普通預金6,000/貸方 償却債権取立益6,000。
当期の回収益6,000円を計上する。前期損失を当期の貸倒損失から控除しない。
資金調達を利益から除く
当期の受取手数料30,000円、受取家賃10,000円、給料18,000円、通信費2,000円。これとは別に借入元本50,000円の入金があった。すべて当期帰属で、他の収益費用・税金・決算整理はない。
解き方と答え
- 収益は30,000+10,000=40,000。借入れ50,000は負債発生であり除く。
- 費用は18,000+2,000=20,000。利益は20,000。
通帳の入金総額と利益は別。利益20,000円。
間違えやすいところ
- 受取家賃と受取地代、支払家賃と支払地代の対象を混ぜない。
- 本人から預かった社会保険料を会社負担の法定福利費に含めない。
- 償却済み債権の回収を通常の売掛金回収と同じ貸方にしない。
採点と記録にはJavaScriptを使います。配点はこの教材独自のものです。
