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有形固定資産 — 取得原価、使用、売却をつなぐの講義・例題

有形固定資産 — 取得原価、使用、売却をつなぐをオリジナル解説・例題・演習で学ぶ。日商簿記3級、2026年度範囲。

日商簿記3級 / 2026年度範囲(2027年3月31日まで) / オリジナル教材

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長く使う資産の取得原価をまとめる

営業用の備品・車両運搬具・建物など、長期にわたって使う有形固定資産を取得したときは、その資産の勘定で記録します。販売用の商品を仕入れる場合とは区別してください。購入しただけで代金全額を当期の費用にするのではありません。

取得原価には購入代金に加え、その資産を使用できる状態にするため直接必要な引取運賃や据付費などを含めます。この章は直接必要な付随費用を明示する単純な取得を扱い、複雑な修繕・改良・評価減などは扱いません。代金が後日払いなら未払金です。

定額法は使用期間へ原価を配分する

減価償却は、長く使う資産の取得原価を、使用する各期間の費用へ配分する手続です。その年に同額の現金を支払うという意味ではありません。この章では定額法を用い、年額=(取得原価−残存価額)÷耐用年数で計算します。残存価額や耐用年数は全て問題の与件で、実務上の法定耐用年数を示すものではありません。

本稿の数値問題の残存価額は0円です。年度の途中から使った場合は、指定された使用月数に応じて年額×月数÷12とします。各問題で使用開始日・決算日・月数の数え方を示すので、実際の税法や独自の日割計算へ置き換えません。

間接法では取得原価をそのまま残す

間接法の減価償却仕訳は、借方 減価償却費/貸方 備品減価償却累計額などです。費用を当期に計上し、これまでの償却の累計を別勘定へ積み上げます。固定資産勘定の取得原価を減価償却のたびに直接減らす方式ではありません。

帳簿価額=取得原価−減価償却累計額です。取得原価、当期費用、累計額、帳簿価額の四つを混ぜないでください。累計額は当期一年だけの費用ではなく、取得後に配分した原価の合計です。

売却日までの償却を先に行う

年度途中で資産を売却する問題では、まず期首から売却日までの指定期間について減価償却し、売却直前の累計額と帳簿価額を求めます。この章では月割期間を明示します。「償却は既に記帳済み」とあるときは、その費用をもう一度計上しません。

売却時には取得原価の資産勘定を貸方で全額消し、その資産の減価償却累計額を借方で全額消します。受取代金と売却直前の帳簿価額との差が売却益または売却損です。代金を後日受け取る場合は、通常の商品販売の売掛金ではなく未収入金です。

売価ではなく帳簿価額と比較する

売却益=売却代金−帳簿価額(代金の方が多い場合)、売却損=帳簿価額−売却代金(代金の方が少ない場合)です。取得原価と売価を直接比べると、既に費用配分した原価をもう一度損失にしてしまいます。

代金が帳簿価額と同じなら損益は0で、売却損・売却益の行を仕訳に入れる必要はありません。未収入金を後日回収する処理は債権の回収であり、売却益を改めて記録する取引ではありません。

固定資産台帳は一つ一つの資産を管理する

固定資産台帳では、資産番号、種類、取得日・使用開始日、取得原価、耐用年数、償却方法、当期償却、累計額、帳簿価額、売却の有無等を個別に管理します。異なる日に取得した資産を一括で同じ月数だけ償却しないでください。

個別の取得原価・累計額・帳簿価額をそれぞれ合計し、総勘定元帳等と照合します。売却済みの資産は期末残高から外れますが、その資産を売却日まで使用した当期の減価償却費は当期費用に残ります。

正味額が合っていても、記録方法は間違いうる

この課題で間接法が指定されているのに、減価償却を備品勘定の貸方へ直接記入すると、備品の取得原価と累計額の内訳が誤ります。取得原価から累計額を引いた正味額が偶然一致しても、指定された方法どおりの帳簿ではありません。

誤記を修正するときは、正しい取得原価・累計額と現在の誤った残高の差を比べます。この章は直接法を新しい解答方法として教えるものではなく、間接法という指定条件に対する誤記を見つける練習です。

例題

引取運賃と据付費を取得原価に加える

備品本体40,000円、使用のため直接必要な引取運賃2,000円、据付費3,000円を普通預金から一括で支払った。消費税なし。

解き方と答え
  1. 取得原価は40,000+2,000+3,000=45,000。
  2. 借方 備品45,000/貸方 普通預金45,000。

備品取得原価45,000円。直接必要な付随費用を別の当期費用へ分けない。

年間額から使用月数の費用を求める

取得原価360,000円の備品を10月1日から使用開始。残存価額0円、耐用年数3年、定額法・間接法。翌3月31日決算で、使用開始月を含む6か月を償却する。

解き方と答え
  1. 年額は360,000÷3=120,000。
  2. 当期は120,000×6÷12=60,000。借方 減価償却費60,000/貸方 備品減価償却累計額60,000。
  3. 取得原価360,000を保ち、累計額60,000を引いた帳簿価額は300,000。

当期費用60,000円、累計額60,000円、帳簿価額300,000円。

売却まで償却してから損益を求める

備品の取得原価300,000円、残存価額0円、耐用年数5年、定額法・間接法。4月1日期首の累計額120,000円。9月30日に160,000円で売却して代金は後日受取り。期首から売却まで6か月分の償却は未記帳。

解き方と答え
  1. 年額300,000÷5=60,000、売却までの償却30,000。借方 減価償却費30,000/貸方 備品減価償却累計額30,000。
  2. 売却直前累計額は150,000、帳簿価額も150,000。売価160,000との差10,000は売却益。
  3. 売却時は借方 備品減価償却累計額150,000・未収入金160,000/貸方 備品300,000・固定資産売却益10,000。

当期償却30,000円、売却益10,000円。償却と売却は順に処理する。

二つの資産を別々に償却して集計する

3月31日決算。A備品は取得原価200,000円、耐用年数5年、期首累計額80,000円で当期12か月使用。B備品は10月1日取得・使用開始、原価120,000円、耐用年数4年で当期6か月使用。いずれも残存価額0、定額法・間接法。

解き方と答え
  1. Aの当期償却は40,000、期末累計120,000、帳簿価額80,000。
  2. Bの年額30,000を6か月分にして当期償却15,000、累計15,000、帳簿価額105,000。
  3. 取得原価合計320,000、累計135,000、帳簿価額185,000、当期償却合計55,000。

320,000−135,000=185,000。資産ごとの使用月数を先に確定する。

間接法の誤記は正味額だけでは見つからない

備品取得原価100,000円、期首累計額20,000円。当期減価償却費10,000円の借方は正しく記入したが、貸方を累計額でなく備品へ誤記した。間接法が指定されている。

解き方と答え
  1. 誤記後は備品90,000、累計額20,000、正味70,000。
  2. 正しくは備品100,000、累計額30,000、正味70,000。正味額は同じだが内訳が違う。
  3. 訂正は借方 備品10,000/貸方 備品減価償却累計額10,000。費用は正しく計上済みなので再計上しない。

取得原価と累計額をそれぞれ直す。正味70,000円が合うことだけでは正しい記録といえない。

間違えやすいところ

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採点と記録にはJavaScriptを使います。配点はこの教材独自のものです。