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CVPの基礎 — 貢献利益から損益分岐点と目標利益への講義・例題

CVPの基礎 — 貢献利益から損益分岐点と目標利益へをオリジナル解説・例題・演習で学ぶ。日商簿記2級・工業簿記、2026年度範囲。

日商簿記2級・工業簿記 / 2026年度範囲(2027年3月31日まで) / オリジナル教材

講義一覧

製品別原価から、月間の利益へ

第01章の固定費・変動費の区別と、第05章で使った一定範囲の費用の考え方を、今度は営業利益の計算に用います。本章は1種類の製品を1か月に生産しただけ販売し、在庫増減がない場合です。製造費だけでなく販売費・一般管理費も固定・変動に分類済みとします。

販売単価p、1個当たり変動費v、販売数量Q、月間固定費Fとすると、売上高pQ、変動費vQ、営業利益P=pQ−vQ−Fです。税金・利息は対象外。各式は、明示した適用範囲の中で単価と費用の性質が変わらない場合に限ります。

固定総額と変動単位額を保つ

固定費は総額Fが一定、変動費は単位額vが一定です。販売数量を増やせば変動費総額は増えますが、固定費総額はこの範囲内では増えません。単位固定費F÷Qは数量によって変わるので、それを新しい数量へ固定して掛け直すと誤ります。

直接費か間接費かという分類と、固定費か変動費かという分類は別です。材料・人件費などの名前から勝手に変動・固定を決めず、問題に示された費用構造を使います。

貢献利益は固定費回収の手前にある

単位貢献利益c=p−v。貢献利益総額M=cQ=売上高−変動費総額です。これから固定費Fを引いたものが営業利益Pなので、貢献利益と営業利益は同じではありません。変動販売費を除外すると貢献利益を過大に計算します。

貢献利益率r=c÷p=M÷売上高=1−変動費率。計算では40%を0.40として使い、百分率を求める解答欄では40と入力します。本章では販売単価と貢献利益は正で、分母が0になる問題は出しません。

損益分岐点を数量と売上高で求める

損益分岐点は営業利益が0となる点です。cQ−F=0を解けば、損益分岐点販売数量Q0=F÷c。損益分岐点売上高S0=pQ0=F÷rです。数量の式の分母は円/個、金額の式の分母は無単位の率で、答えの単位が異なります。

売上高から変動費と固定費を引いて0になるか必ず確認します。理論的な分岐点では数量を連続量として扱うことがあり、整数個で赤字を避ける最小数量とは区別します。図の作成・読取りは本章では扱いません。

目標利益を加えて必要販売量へ進む

目標営業利益をTとすると必要貢献利益はF+Tです。目標数量=(F+T)÷c、目標売上高=(F+T)÷r。Tだけを割ると、固定費を回収する分が欠けます。求めた数量・売上高を元の利益式へ戻して確かめます。

整数個で販売し、目標以上が必要なら、理論数量を最小の整数へ切り上げます。四捨五入ではなく、切り上げた数量で目標以上、1個少なければ未達であることを確かめます。整数化後の利益は目標を少し上回る場合があります。

安全余裕額と安全余裕率を区別する

基準となる計画売上高または実際売上高をSとすると、安全余裕額はS−S0、安全余裕率は(S−S0)÷Sです。本章の安全余裕の問題ではSは分岐点より大きく、どちらを基準にするかを明記します。分母をS0や営業利益に置き換えません。

単価・費用構造が変わらず数量だけが減る条件で、分岐点までどれだけ売上高が減少できるかを表します。安全余裕額×貢献利益率=営業利益とも照合できます。ただし安全余裕額そのものは利益・現金残高ではなく、倒産確率や値下げ許容率でもありません。

能力と適用範囲を計算の後に照合する

式から候補数量が出ても、現行設備で作れる・予定価格で売れることまで証明したわけではありません。候補が適用範囲を超えたら、同じ固定費や単位変動費をそのまま使って範囲外の利益を予測しません。

単位貢献利益が正なら、現行範囲内の利益は数量とともに増加します。能力上限での利益が目標に満たなければ、現行条件では達成できません。拡張後の設備費・単価・需要などは不明なら不明のままにします。

未知の一つを逆算し、足りない情報は作らない

P=pQ−vQ−Fを変形すればF=(p−v)Q−Pです。数量・単位変動費・固定費・目標利益が決まれば、必要な販売単価はv+(F+T)÷Qと逆算できます。これは与えられた数量での計算であり、市場での最適価格の提案ではありません。

一方、ある数量での総費用しかなければ、固定費と変動費の内訳は一つに決まりません。その時点の利益は計算できても、実際の分岐点を確定できるとは限りません。仮の内訳を実際の事実として採用しないことも計算技能です。

誤ったワークシートと二つの計画を点検する

固定費を変動費率で割った値を、損益分岐点売上高と呼んではいけません。元の利益式へ戻せばゼロにならず、誤りを発見できます。ゼロを求めた欄には0を入力し、空欄で代用しません。

二つの価格・費用条件を比較する場合も、各条件の単位貢献利益・固定費を使って基本式を別々に計算します。安く作れるようになっても値下げや固定費増加があれば利益が増えるとは限りません。本章の比較は二つの確定した仮定の再計算に限り、需要予測・不確実性・多品種最適化は扱いません。

扱った範囲を明確にする

公式出題区分の第十三「損益分岐分析の計算方法」の基礎を扱いました。「損益分岐図表」は作図・読図の実習がないため未収録です。上級のCVP感度分析、多品種CVP、全部原価計算で在庫増減を含める分析、税引後目標利益、営業レバレッジ、資金計画は扱いません。第十三全体や2級全範囲の完成を意味しません。

2026年度に適用される2022年度版の区分表を参照しています。基本関係式は教育機関の資料でも確認していますが、本章の状況・数値・解説は独自制作です。公式教材・公式採点との同等性や合格可能性を保証しません。

例題

数量が変わっても固定費総額は据え置く

同規格の製品1種類について1か月を分析する。生産数量と販売数量は等しく、仕掛品・製品の在庫増減はない。別記のない限り、販売数量0〜2,000個の範囲で販売単価と1個当たり変動費は一定、固定費総額も一定とする。変動費・固定費には製造と販売・管理に関する費用を重複なくすべて含み、ほかの営業費用はない。税金・利息は扱わず、利益は営業利益を指す。単位貢献利益は正。金額は円、数量は個で、割合の解答欄には百分率の数値を入力する(例:40%なら40)。組立用棚板の販売単価2,000円、単位変動費1,200円、固定費180,000円。300個時と600個時の変動費総額・固定費総額・営業利益を比べる。

解き方と答え
  1. 300個:売上600,000、変動費360,000、固定費180,000、利益60,000円。
  2. 600個:売上1,200,000、変動費720,000、固定費180,000、利益300,000円。
  3. 増加300個×単位貢献利益800円=利益増加240,000円。

300個時:変動360,000円・固定180,000円・利益60,000円。600個時:変動720,000円・固定180,000円・利益300,000円。

数量式と売上高式が同じ点を示す

同規格の製品1種類について1か月を分析する。生産数量と販売数量は等しく、仕掛品・製品の在庫増減はない。別記のない限り、販売数量0〜2,000個の範囲で販売単価と1個当たり変動費は一定、固定費総額も一定とする。変動費・固定費には製造と販売・管理に関する費用を重複なくすべて含み、ほかの営業費用はない。税金・利息は扱わず、利益は営業利益を指す。単位貢献利益は正。金額は円、数量は個で、割合の解答欄には百分率の数値を入力する(例:40%なら40)。工具ケースの販売単価2,400円、単位変動費1,440円、固定費768,000円。単位貢献利益・貢献利益率・損益分岐点数量と売上高を求め、利益ゼロを確認する。

解き方と答え
  1. 単位貢献利益960円、貢献利益率960÷2,400=40%。
  2. 分岐点数量768,000÷960=800個。売上高800×2,400=1,920,000円。
  3. 金額式768,000÷0.40でも1,920,000円。売上−変動1,152,000−固定768,000=0。

単位貢献利益960円、貢献利益率40%、分岐点800個・1,920,000円、営業利益0円。

目標利益を含む売上高を計画する

同規格の製品1種類について1か月を分析する。生産数量と販売数量は等しく、仕掛品・製品の在庫増減はない。別記のない限り、販売数量0〜2,000個の範囲で販売単価と1個当たり変動費は一定、固定費総額も一定とする。変動費・固定費には製造と販売・管理に関する費用を重複なくすべて含み、ほかの営業費用はない。税金・利息は扱わず、利益は営業利益を指す。単位貢献利益は正。金額は円、数量は個で、割合の解答欄には百分率の数値を入力する(例:40%なら40)。木製トレーの販売単価2,000円、単位変動費1,300円、固定費455,000円、目標営業利益245,000円。必要貢献利益、販売数量、売上高を求める。

解き方と答え
  1. 必要貢献利益455,000+245,000=700,000円。
  2. 単位貢献利益700円なので数量1,000個。貢献利益率35%なので売上高700,000÷0.35=2,000,000円。
  3. 1,000×700−455,000=245,000円と目標を確認する。

必要貢献利益700,000円、必要数量1,000個、必要売上高2,000,000円。

安全余裕を利益と混同しない

同規格の製品1種類について1か月を分析する。生産数量と販売数量は等しく、仕掛品・製品の在庫増減はない。別記のない限り、販売数量0〜2,000個の範囲で販売単価と1個当たり変動費は一定、固定費総額も一定とする。変動費・固定費には製造と販売・管理に関する費用を重複なくすべて含み、ほかの営業費用はない。税金・利息は扱わず、利益は営業利益を指す。単位貢献利益は正。金額は円、数量は個で、割合の解答欄には百分率の数値を入力する(例:40%なら40)。収納仕切りの販売単価1,600円、単位変動費960円、固定費576,000円、計画売上高2,400,000円。損益分岐点売上高、安全余裕額・率、計画営業利益を求める。

解き方と答え
  1. 貢献利益率40%。分岐点売上高576,000÷0.40=1,440,000円。
  2. 安全余裕額2,400,000−1,440,000=960,000円。率960,000÷2,400,000=40%。
  3. 計画利益は960,000×0.40=384,000円で、安全余裕額とは異なる。

分岐点1,440,000円、安全余裕960,000円・40%、計画利益384,000円。

利益から単位変動費を逆算する

同規格の製品1種類について1か月を分析する。生産数量と販売数量は等しく、仕掛品・製品の在庫増減はない。別記のない限り、販売数量0〜2,000個の範囲で販売単価と1個当たり変動費は一定、固定費総額も一定とする。変動費・固定費には製造と販売・管理に関する費用を重複なくすべて含み、ほかの営業費用はない。税金・利息は扱わず、利益は営業利益を指す。単位貢献利益は正。金額は円、数量は個で、割合の解答欄には百分率の数値を入力する(例:40%なら40)。小型書見台を販売単価1,800円で1,200個販売した。固定費648,000円、営業利益216,000円。単位変動費だけが不明である。貢献利益総額、単位貢献利益、単位変動費を復元する。

解き方と答え
  1. 貢献利益総額=固定648,000+利益216,000=864,000円。
  2. 単位貢献利益864,000÷1,200=720円。単位変動費1,800−720=1,080円。
  3. 売上2,160,000−変動1,296,000−固定648,000=利益216,000円。

貢献利益864,000円、単位貢献利益720円、単位変動費1,080円。

最小整数数量は一つ手前と比較する

同規格の製品1種類について1か月を分析する。生産数量と販売数量は等しく、仕掛品・製品の在庫増減はない。別記のない限り、販売数量0〜2,000個の範囲で販売単価と1個当たり変動費は一定、固定費総額も一定とする。変動費・固定費には製造と販売・管理に関する費用を重複なくすべて含み、ほかの営業費用はない。税金・利息は扱わず、利益は営業利益を指す。単位貢献利益は正。金額は円、数量は個で、割合の解答欄には百分率の数値を入力する(例:40%なら40)。展示用ケースの販売単価1,700円、単位変動費1,050円、固定費325,000円、目標営業利益20,000円以上。1個単位で販売する。ここでは適用範囲・能力上限とも0〜600個である。最小数量、その利益、1個少ない場合の利益を求め、能力内か判断する。

解き方と答え
  1. 単位貢献利益650円。必要数量345,000÷650=530と500/650なので531個。
  2. 531個の利益は20,150円、530個は19,500円。最小性が確認できる。
  3. 531個は上限600個以下で、与えられた適用範囲内。

最小531個、利益20,150円、1個少ない場合19,500円。能力・適用範囲内。

間違えやすいところ

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採点と記録にはJavaScriptを使います。配点はこの教材独自のものです。