DESIGN LINEAGEデザイン表現史RESEARCH EDITION
PRIMARY SOURCES / WORKS

本文試作・実作品画像1点収録 / 代表画像セットは整備中 · 2026-11-01

歴史・運動(この項目はイタリアの展開を対象)

未来派(イタリア未来派を中心に)

Futurism

年代
1909–1944を中心に/死後鋳造などの受容は区別
地域
イタリア:ミラノ、ローマ、パレルモなど

速さを、動かない絵や彫刻(ちょうこく)にする。

走る機械や、にぎやかな都市。

未来派の人々は、新しい時代の速さを、絵や彫刻(ちょうこく)、文字などで表そうとしました。

服や部屋のつくり方にも、その考えを広げています。

一方で、戦争をたたえる考えもありました。

見た目の面白さとともに、何を主張した活動だったかも見ていきます。

ことばの意味を知る
彫刻
木や石などを使って、立体の形につくった作品。

LOOK AT THE WORK / 実作品を見る

両脚を大きく開いた金褐色のブロンズ像を斜めから見た写真。胴と脚の面が後方へ張り出し、両足は別々の矩形台に乗る。木製展示台は下端が画面外へ続く。

FUTURISM / SCULPTURE · 原作1913年/この個体の鋳造1950年

Unique Forms of Continuity in Space(空間における連続性の唯一の形態)

Umberto Boccioni(ウンベルト・ボッチョーニ) / The Metropolitan Museum of Art

Met所蔵1990.38.3。原作1913年、この個体は1950年鋳造のブロンズです。像と両足の台は全体が見えますが、木製展示台は下端が写真の外へ続きます。写真の別角度を別作品として数えません。

01

歩行の輪郭を、後方へ引き延ばす。

大きく開いた両脚と後ろへ流れる面が、歩行する人体を連続する運動として見せます。

02

面の明暗で、速度を感じさせる。

なめらかな凸面と深いくぼみに明暗が分かれ、輪郭だけでなく立体の表面でも速度感を作ります。

03

原作と、鋳造された個体を分ける。

この写真は1950年鋳造のブロンズ個体。原作の年1913と、撮影された鋳造物の年を分けて読みます。

形と明暗は掲載写真の観察です。作者・材質・原作年と鋳造年はMetの個別記録に基づき、同館が未来派の速度・機械的な力と結び付けて解説する作品として選定しています。

Umberto Boccioni, Unique Forms of Continuity in Space, 1913, cast 1950. The Metropolitan Museum of Art, Bequest of Lydia Winston Malbin, 1989 (1990.38.3). Public Domain / CC0.

所蔵元の作品解説 ↗
画像はどこから? 使うときの条件は?

所蔵番号1990.38.3。原作品:個別Public Domain表示。配信写真:当該媒体のOpen Access指定とMet CC0方針。確認日 2026-11-01。

公式配信の原JPEGは無加工で保持し、拡大リンクから取得できます。ページ表示には縦横比と全画面を保った縮小WebPを使用(切り抜き・色補正なし)。原JPEGと各表示画像のサイズ・SHA-256を権利台帳に別記録。撮影者名は未確認のため推定しません。

美術館のOpen Access方針 / CC0 / 収録画像の権利台帳

US museum assessment, not a claim of universal jurisdictional guarantee

ORIGINAL EXPLAINER · 自作解説図

未来派:時間と軌跡

Aは一つの円盤の静止位置。Bは同じ円盤の五つの時点を濃淡と位置の変化で重ね、移動の軌跡を示す。

実在する代表作の画像ではありません。見るポイントを学ぶために、このサイトが作った例です。

Aは一つの円盤の静止位置。Bは同じ円盤の五つの時点を濃淡と位置の変化で重ね、移動の軌跡を示す。

解説図|このサイトが作成した比較例。Aは一つの円盤の静止位置。Bは同じ円盤の五つの時点を濃淡と位置の変化で重ね、移動の軌跡を示す。 実在する歴史的代表作の画像・復元ではなく、特定作家の模倣でもありません。様式全体の定義や優劣を示す図ではありません。

考え方を確かめる美術館の資料 ↗ · 参照先がこの図を制作・監修したわけではありません。

解説図を大きく開く ↗

作品から、もっと知る。

作品の知名度や画像の入手しやすさだけで選びません。紹介したい作品と、調べて分かったことをまとめました。画像を載せられるかどうかは、別に確かめています。画像の利用許諾を確認できていないものは掲載していません。

掲載したのは、Boccioniのブロンズ像1点です。1913年の原作と、1950年に金属を型へ流してつくった、この像を区別しています。文字の表現、衣服、都市への広がりを比べる3〜5点のセットは、まだ完成していません。

01

Unique Forms of Continuity in Space — 空間における連続性の唯一の形態

動く体を、一つの形にする。

動く体と、その周りの空間を結び付けてつくった彫刻です。

動かない形で、どう動きを伝えるかを考えられます。

作品の所蔵元・解説ページで見る ↗
原作品:個別Public Domain表示。原型1913年/所蔵個体は1950年の死後鋳造。 / 複製:当該画像のOpen Access指定(CC0)を確認。写真の撮影者名は未確認。
商用利用:Met Open Access CC0、商用・非商用利用可 / 画像採用:取得・掲載済み。同一作品1点として数える。
作品の記録と、詳しい説明

彫刻・身体と空間

動く身体と、その周りの空間を、一つの形に結びつけた例です。本や平面で速さを表す方法とは異なる、立体作品の役割を示します。

1913年制作のブロンズ原作ではなく、作者の死後に鋳造(ちゅうぞう、型に金属を流して作ること)されました。館の一部の古い翻訳本文は1949年としますが、現在の見出しと2016年の館の研究に従い、1950年と記します。鋳造を進めたBenedetta Marinettiと、古い翻訳が挙げるF. T. Marinettiを混同しません。MoMAにある別の鋳造個体とも区別します。

02

作品の内容を説明する見出し

言葉の意味と、音や並び方を使う本

原題:Zang Tumb Tumb: Adrianopoli Ottobre 1912: Parole in Libertà

言葉を読む。音や並び方も感じる。

文字の意味だけでなく、音やページの中の置き方も使っています。

機械を使う戦争の経験を扱った本なので、自由な文字の並べ方だけでなく、何を伝えるかも大切です。

作品の所蔵元・解説ページで見る ↗
原作品:個別ページにMarinetti/ARS/SIAEの著作権表示 / 複製:MoMAはArt Resource/Scalaへの画像利用照会を案内
商用利用:許可未取得・掲載不可 / 画像採用:未採用
作品の記録と、詳しい説明

詩・タイポグラフィ・書物

読む言葉、音、目に見える配置を結びつけた例です。機械化された戦争の経験を扱っています。自由に文字を置く技法だけを、題材から切り離して見ないようにします。

題名の1912は、題材になった戦争の年です。出版は1914年です。MoMAは版数不明と記しています。Getty所蔵本や、MoMA図書館にある別の個体の寸法を、この本の寸法として使いません。

03

Depero’s Futurist Waistcoat — 未来派の胴着

新しい表現を、服にして着る。

布を使ってつくられた、身に着ける品です。

未来派の試みが、絵だけでなく、暮らしの中にも広がったことが分かります。

作品の所蔵元・解説ページで見る ↗
原作品:教材にARS/SIAE表示 / 複製:写真Vittorio Calore。教材は教育用途のみで商用不可
商用利用:条件不適合・掲載不可 / 画像採用:未採用
作品の記録と、詳しい説明

衣服・素材・生活の設計

布で作り、身に着ける品です。この運動が、絵画以外の日常の暮らしへも広がったことを示します。

綿の裏地にウールを継ぎ合わせた作品で、個人蔵です。教材で示された作者名は、デザインの担当を指します。工房全体の説明だけを根拠に、Rosettaがこの服を縫ったとは断定しません。

04

Synthesis of Aerial Communications — 航空通信の総合

空からの眺めを、建物に飾る絵へ。

空の上から見ることをテーマにした、建物に飾る絵の一部です。

未来派には、初めのころの彫刻とは違う仕事もありました。

作品の所蔵元・解説ページで見る ↗
原作品:教材は権利者からの許諾による掲載と明記 / 複製:写真AGR/Riccardi/Paoloni。教材の許諾は本図鑑へ移転しない
商用利用:条件不適合・掲載不可 / 画像採用:未採用
作品の記録と、詳しい説明

絵画・航空画・公共空間

空からの視点を扱う、公共の壁画の一部です。初期の男性作家による彫刻だけで、この運動の歴史全体を説明しないために選びます。

パレルモ郵便局にある、通信を題材にした5点の連作の一つです。カンヴァスに、テンペラとエンカウスティック(ろうを使う技法)を用いています。国全体の航空への関心や、公共の場所に置かれたことも、一緒に考えます。

もう少し知る:時代や、つくり方の話

どんな時代に、何をつくった?

機械や都市、速さを、芸術でどう表せるでしょうか。未来派は、これらを新しいテーマにして、絵画に加え、詩・彫刻・衣服・室内まで作り替えようとした運動です。斜めの線や、丸・四角などを使った見た目だけを指す名前ではありません。

1909年にマリネッティ(Marinetti)が発表した宣言を出発点に、印刷物や活動を通じて主張を広めました。戦争をたたえる考えや、マリネッティとファシズム(国家や指導者への服従を強く求める独裁的な政治思想)との結び付きも、切り離せません。ただし、参加者全員が同じ政治的立場だったわけではありません。女性の参加や、運動の中での違いも扱います。

以下は観察のための問いです。すべての作品に共通する固定ルールや、未取得画像の実見結果ではありません。

COLOR

色と、使った材料

決まった配色を探すより、何で作られているかを見ます。ブロンズ、印刷した紙、縫い合わせた布では、色が生まれる仕組みが違います。

TYPE

文字をどう見せる?

『Zang Tumb Tumb』では、言葉の意味に加え、音や文字の見た目にも注目します。文章の作者と、文字の形や配置を設計した担当者を分けて確認します。

FORM

どんな形で、どうつくる?

ボッチョーニ(Boccioni)の彫刻では、身体と周りの空間を結び付ける形が重要です。変形した輪郭を、単なる飾りや機械の姿としてだけ見ないようにします。

COMPOSITION

どこに、どう置く?

1930年代の航空画では、上空から見下ろす視点が大切です。初期の、動きを強調する表現だけが、運動全体に共通する構図ではありません。

COMPARE

似ているところ、違うところ。

ロシア構成主義(Russian Constructivism)とは、斜めの配置や、印刷物への広がりが似て見えることがあります。それでも、運動の始まり、社会に対する目的、一人ひとりの政治的な主張は、別に確かめます。この項目はロシア未来派の説明を兼ねるものではありません。また、バウハウス(Bauhaus)のような学校とも区別します。

項目を横に並べる ↗

READ TODAY

原作・複製と、その広まりを分けて見る

同じ彫刻の形でも、最初の原型、作者の死後に金属で鋳造(ちゅうぞう:溶かした金属を型に流して作ること)した物、後年の複製では、材料や制作時期が違います。メトロポリタン美術館(Met)の研究は、鋳造と展示によってボッチョーニの作品が知られていく過程を示しています。現代の広告にスピード感があっても、似ているだけで未来派から直接影響を受けたとは断定しません。

このページを書くときに使った資料です。作品の説明、画像を入手できたかどうか、画像を使う条件は、それぞれ別に確かめています。検索結果で読んだ情報と、元のページを開いて確かめた情報も、調査の記録で分けています。

  1. イタリア未来派と、1909年の宣言について — MoMA
  2. 未来派の印刷物と、政治との関係について — MoMA
  3. 動く体を表す彫刻の所蔵記録(1990.38.3) — The Metropolitan Museum of Art
  4. 作者の死後につくられた金属の彫刻についての研究 — The Metropolitan Museum of Art
  5. 文字の音や配置を使った本の所蔵記録(1089.2001) — MoMA
  6. 未来派のさまざまな材料・作品・政治を考える教材 — Guggenheim Museum

この項目の収録実画像:1点(図鑑全体:28点)。参照・関連実作品はこの項目0点(図鑑全体2点)。代表作品画像セットの数には含めません。